陽性となっても入院先が決まらない、いわゆる“入院待機者”は、都内でも7727人と過去最多の状態。自宅療養者も9000人を超えています。
18日、取材に応じてくれたのは都内在住の母親と娘。この年末に父親が感染し入院。その後、母親も陽性が確認されましたが――
娘「『呼吸器に重大な障害がない限りは、まだ入院できません』とはっきり言われまして」
高血圧の持病があった母親。その薬の影響か、脳貧血で何度か倒れたといいますが、自宅療養を余儀なくされ、入院できたのは陽性が確認されてから8日後のことでした。そこで娘が驚いたというのが…。
娘「入院先のお医者さんから『肺炎がだいぶ進んでます』って。外見から全くわからなかったんですよ」
ふたを開けてみれば、重症化する可能性があるほどの肺炎だったという母親。しかし、本人は…。
新型コロナに感染した母(79)「(自覚は)ないですね。重症化するっていうほどではなかった」と話します。
「自覚するほどではなかった」という症状。コロナ患者の治療にあたる医師も、そうした人をよく見るといいます。
東海大学医学部付属病院 高度救命救急センター・守田誠司所長「低酸素で重症なんだけども、『大丈夫です。大丈夫です』っていう状況の方が多いです」
通常、低酸素状態とは、呼吸によって血液中に酸素が送られますが、肺に炎症が発生すると、血液中に十分な酸素を送ることができなくなり、呼吸困難などを引き起こす状態のことをいいます。
しかし、新型コロナに感染した一部の患者は、この低酸素状態に“異変”が起こるそうです。
高度救命救急センター・守田所長「一般的にハッピーハイポキシアという言い方をしていて、日本語にすると『幸せな低酸素(状態)』という言い方になるんですけど、本人としては多幸感が出てくるらしい。少し気持ちいい感じになって、呼吸困難を感じないという状況ですね。結果として誤った判断で、さらに低酸素が進んでしまって死に至る可能性が十分にあると」
自分が重症化していることに気づかないことから“幸せ”と称され、ますます症状が悪化してしまうハッピーハイポキシア。
これを防ぐために有効なのが、パルスオキシメーター。血液中の酸素濃度を測ることができる機械です。
高度救命救急センター・守田所長「95(%)以上あれば正常。95(%)を切ってくると、少しずつ酸素が足りない状態。90(%)を切ってしまうと、かなり危険な状態」
自宅療養者に対して貸し出しが行われている自治体も多いため、高度救命救急センター・守田所長は「患者さんが元気になれば、次の人に使うというかたちで(パルスオキシメーターを)どんどん使っていければいいのかな」と話しました。