登米市迫町北方の観音寺地区で、他地域での栽培に適さないことなどから「幻のセリ」と呼ばれる観音寺セリの収穫が、最盛期を迎えている。
観音寺セリは農家5戸が、地区のセリ田約20アールで栽培している。24日は小雪が舞う中、足元まで水に漬かって30センチ前後に育ったセリを収穫した。
約50年前から約4.5アールで栽培を手掛ける農業木村寿さん(69)は「ことしの生育は例年並み。収穫作業は重労働だが、先祖代々受け継いできた伝統なので、途絶えさせたくない」と話す。作業は31日まで続くという。
関係者によると地区で採れるセリは、他の産地のものに比べて香りが強いという。市場を通さず、生産者が親類や知人から注文を受け、販売している。
地区には、セリ田に流れ込む湧き水は、平安時代に弘法大師空海が掘った井戸水だとする言い伝えも残っている。