「ウサギの島」。外国人観光客らにこう呼ばれ、人気を集める周囲4キロほどの小さな島が瀬戸内海にある。広島県竹原市の大久野島。野生のウサギと出会えるスポットとして、来訪客はここ10年で約2倍に増加。島を管理する休暇村は、道路周辺でのえさやり禁止を呼びかける看板を増やすなどして、環境と観光の両立を図っている。
本土側の港から船で15分。桟橋から島にあがると、白や茶色のウサギが10匹以上駆け寄ってきた。ふんわりとした毛並みは、モフモフ感たっぷり。島には現在、野生のアナウサギ700羽以上が生息すると推定されている。
島は1929年から終戦まで、旧陸軍の毒ガス工場があった。戦後は工場跡を米軍が弾薬庫として利用。57年に日本へ返還され、63年には休暇村が開業。観光開発が進められてきた。
なぜウサギがいるのか。71年に地元の小学校で飼っていた8羽が放され、野生化した説が有力という。環境省大久野島ビジターセンターによると、2007年は約300羽だったが、13年の調査では約700羽に。その後も増え続けているとみられる。
次第にウサギ好きの人気スポットとして知られるようになり、近年は外国人観光客が動画や投稿をユーチューブやブログに相次ぎ掲載。「Rabbit Island」と紹介され、知名度を上げた。島を訪れる観光客は05年の約13万6千人から、15年には過去最多の約25万4千人に増加。うち外国人客は約1万7千人で、13年の約45倍と急増している。