ついに底打ち、それともただの反動!? 大手百貨店4社が1日に発表した5月の売上高(速報値)は、高島屋が26カ月ぶりに、三越、伊勢丹の両本店も25カ月ぶりと22カ月ぶりにプラスに浮上し、ほぼ2年にわたるマイナスにやっと終止符が打たれた。
年明けから動き出した宝飾品など高額品に続き、5月は好天に恵まれ、主力の衣料品が好調だったためだ。同日から支給が始まった子ども手当や改善が見込まれる夏のボーナスを追い風にプラス基調の定着を目指す。
前年同月比0.5%増と26カ月ぶりにプラスに回復した高島屋。東京店(東京都中央区)の婦人服売り場では、平日にもかかわらず主要顧客の50~60代だけでなく、20代後半から30代前半の子ども連れの女性が5万円前後のワンピースなどを買い求める姿が目立つようになったという。
谷口一人東京店店長は「婦人服の売り上げは約4.5%、紳士服も1.4%増えた。主力の衣料品が動き出し、明らかに売り場の雰囲気が変わってきた」と顔をほころばせる。
大丸松坂屋百貨店も百貨店事業全体で0.9%増と、今年2月以来3カ月ぶりにプラスに。担当者は「固定客向けの販促効果に加え、初夏物のブラウスなど婦人服が好調に推移した」と話す。
一方、三越伊勢丹ホールディングス(HD)は傘下の三越、伊勢丹ともに前年実績を割り込んだが、三越日本橋本店(東京都中央区)が3.2%増(店頭分)、伊勢丹新宿店(東京都渋谷区)が1.9%増となった。牽引役はやはり衣料品。三越日本橋本店は婦人服が4.8%増、紳士服が1.4%増とともに水面上に浮かんだ。
ただ、5月の勢いが継続できるかどうか慎重な見方も根強い。プラス浮上は、昨年5月が新型インフルエンザの影響で低水準だった反動との見方もあり、「6月以降も予断を許さない」との声も漏れる。
加えてここにきての株価下落がやっと盛り上がりつつあった富裕層の消費マインドを冷やしかねない。百貨店関係者は「主力の衣料品の回復が本物かどうかが今後のカギを握る」と先行きを見守っている。