テーマパークの先駆けとして誕生したものの、平成18年に閉園した奈良市の「奈良ドリームランド」跡地(約30ヘクタール)が11日、税金滞納による差し押さえ物件として奈良市による公売にかけられたが入札がなく、不成立となった。市は価格などを再検討し、半年後にも再び公売にかける方針。
【フォト】廃虚と化した「奈良ドリームランド」
市は最低入札価格を7億3千万円と掲示。土地単価は1平方メートルあたり2433円で、近隣と比べ“破格”の安さだ。しかし甲子園球場8個分に相当する広大な土地には厳重な建築規制があるうえ、遊具や建物のほとんどが放置されたままのため、撤去だけでも相当な費用が必要なことなどが敬遠されたとみられる。
跡地は都市計画法の市街化調整区域にあたり、現状で設置可能なのは社会福祉施設やスポーツ施設ぐらい。市の担当者は「残念。厳しい規制が主な原因だろう」とし、今後は価格の見直しも検討するという。
ドリームランドは昭和36年、木製のジェットコースターなどを備えるテーマパークとして開園。40年代の最盛期には約160万人が訪れたが、他のテーマパークとの競合などで来場者は減少。平成17年に所有者のダイエーが奈良市内の不動産会社に運営会社を売却し、18年8月に閉園された。
市は運営会社が固定資産税を滞納したとして25年4月に土地・建物を差し押さえ、今年9月下旬に公売の公告を開始。同社などによると滞納額は約6億5千万円に上るが、市の公売に反発し、返済の意向も示しているという。