建機の遠隔操作はプロゲーマーが最速、国土交通省も期待する建設人材確保

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 東京・六本木の操縦席から約50km離れた千葉市内の建設機械を遠隔操作して土砂を掘削・搬出し、そのタイムや正確性を競うイベント「e建機チャレンジ」の第3回大会が2024年10月24日に開かれた。建設会社の技術者に加えて学生や女性、プロのゲーマーなど多彩な挑戦者が参加して好成績を収め、建機の遠隔操作の普及が建設業の人材確保につながる可能性を示した。

東京・六本木の会場から遠隔でバックホーなどを操作した(出所:日経クロステック)

東京・六本木の会場から遠隔でバックホーなどを操作した(出所:日経クロステック)

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 中でもオンラインゲームなどの腕を競う「eスポーツ」のプロチーム「Sengoku Gaming(センゴク・ゲーミング)」のメンバーは、初挑戦となる予選会で大会を通じて最速のタイムを記録。続く決勝戦では前回大会で優勝した丸磯建設(東京・品川)に敗れたものの、「遠隔操作の建機を活用すれば、ゲームの経験を建設現場でも生かせるのではないか」と見る主催者である運輸デジタルビジネス協議会(東京・港、TDBC)の小島薫代表理事の期待に応えた。

開催のきっかけは建設業界の人手不足

 e建機チャレンジは、建設業界の人材不足をきっかけとして22年から毎年開催しているイベントだ。24年大会では、2人1組のチームがバックホーとクローラーダンプをそれぞれ遠隔で操作。過去最多の6チームが参加し、バックホーで掘削した土砂をダンプで運んで荷下ろしする一連の作業に要する時間を競った。6チームのうち、建設会社から参加したのは2チームだけだ。

 積み込む土砂の量が少なかったり、建機が規定のルートを外れて走行したりするとタイムが加算される。5チームが予選会に参加し、最も速いタイムを記録したチームが前回優勝の丸磯建設との決勝戦に進むルールで実施した。

大会では2人1組のチームがそれぞれバックホーとクローラーダンプを操作する。互いに声を掛け合って建機の位置を微調整する場面もあった(出所:日経クロステック)

大会では2人1組のチームがそれぞれバックホーとクローラーダンプを操作する。互いに声を掛け合って建機の位置を微調整する場面もあった(出所:日経クロステック)

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 大会の運営は、大林組などTDBCの遠隔施工ワーキンググループの会員企業が担当した。スタートアップのARAV(アラヴ、東京・文京)の遠隔操作システムを利用し、EP Rental(EPレンタル、東京都武蔵野市)の千葉市内のヤードで建機を動かした。

 建機の遠隔操作は、災害復旧や砂防工事の現場で作業者の安全確保を目的に開発や導入が進んできた。それが近年、建設業の人材の確保や施工の効率化、働き方の改善に効果を発揮すると期待されている。通信環境の向上やカメラ、センサーの高機能化などによって、自宅から建機を操作したり、1人のオペレーターが複数の現場の建機を操ったりすることが技術的に可能になってきたからだ。

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