あなたは個性的な“キラキラネーム”に対してどんな印象がありますか?
『WooRis』の過去記事「あの都市伝説の真相は?“キラキラネーム”が危険な理由2個」でもお伝えしたように、キラキラネームは就職や結婚において不利に働くこともあるようです。
では、キラキラネームの人が、「もうこんな名前イヤ!」となった場合、名前を変更することってできるのでしょうか? 弁護士法人アディーレ法律事務所のパートナー弁護士・篠田恵里香先生にお話をうかがいました。
■名前を変更するには家庭裁判所の許可が必要
「キラキラネームが苦痛」「名前のせいで不利益をこうむっている」等、何らかの事情があって名前を変更したい場合、どのような手続きが必要なのでしょうか?
「名前を変更するには、家庭裁判所の許可を得る必要があります。名前は個人を特定するために必須のものですので、簡単に変更を認めるべきではないからです。
ただ名前の場合は“正当な事由”があればよいとされ、名字よりも変更が許可されるハードルが若干低いとされています」
■名前の変更が認められる“正当な事由”って?
“正当な事由”というのは、具体的にはどのようなものなのでしょうか?
「典型例としては、長年本名とは違う名前を使用していた、奇名・珍名であった、社会生活上の不利益が大きい、といった場合は名前を変更する正当な事由となります。なお、あくまで主観的にイヤだというだけで、客観的に何ら不利益がないと考えられる場合は、変更は許可されない可能性が高いです」
奇名・珍名も、名前を変更する“正当な事由”になりうるのですね。ただ、「主観的にイヤなだけではNG」ということは、「何となく自分の名前はキラキラネームっぽくてイヤだ」というだけでは、変更は認められないということでしょうか?
「本人がイヤがっているというだけで変更が認められてしまいますと、無制限に変更が可能となってしまい、裁判所の許可を必要するとした法律の狙いをダメにしてしまうことになります。そのため、“イヤだ”という主観的理由のみでは、変更は許可されないでしょう」
本人の主観だけではダメなのですね。続いて、具体的なケースについて、キラキラネームの変更が認められるかどうか篠田先生にうかがってみました。
■ケース1:就職の書類選考で落とされ続けている
「就職の書類選考で落とされている理由が“名前”なのかどうかは一概にはわかりませんので、“就活がうまくいっていない”ことだけを理由に変更を認めてもらうのは難しいといえます。
しかし、本人の感じ方だけでなく、一般的に見ても“珍名・奇名”であったり、本名を使うことが仕事の支障になりそうだったりする場合は、“名前が就職活動のネックになっている”と見ることもできるでしょう。
“珍名等であり仕事に影響が出る可能性がある”ということと、“就職活動もこの名前のせいで自信が持てない”という主張を合わせて裁判所に申し立てすれば、変更が認められる可能性も十分にあります。まずは思いのたけをつづって裁判所に申し立ててみたほうがよいでしょう」
■ケース2:名前のせいで婚約が破談になった
「名前が結婚のネックになっているのであれば、結婚はその人の人生を左右する大きな選択ですので、変更が認められる可能性は高いでしょう。ただし、やはり、“客観的に親族として不快を感じる名前”であるか、“名前だけを理由に結婚が破談に至ったといえるか”という判断によるでしょう。
現に相手の親族から強い反対があり、改名などを迫られているケースでも、当事者がそれを押し切って結婚できるのであれば、改名の必要なしとされる可能性もありますが、事実上“改名しないと結婚が無理そう”ということであれば、変更が認められる可能性は高いでしょう」
誰がどう見ても明らかに奇妙な名前のせいで、何らかの不利益をこうむっている場合、名前の変更が認められることもあるようです。「もう少し親がまともな名前を付けてくれていたら……」という深い悩みを抱えているかたは、裁判所での変更手続きを検討してみてもいいかもしれませんね。