当選所沢市議ミクシィで“選挙運動”…公選法抵触も

22日に投票が行われた統一地方選の候補者が、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、ミクシィ(mixi)を利用して選挙運動をしていたことが24日、分かった。「足あと」と呼ばれるアクセス履歴を悪用する手口は公職選挙法に抵触する恐れがあるうえ、迷惑業者の常套(じょうとう)手段ともなっている。とんだ“選挙活動”に、ご本人は「ノーコメント」とバツが悪そうだ。

 ミクシィ内で自身の売り込みをしたのは埼玉県所沢市議選に出馬した水村篤弘市議(33)=民主。水村市議はミクシィに本名で登録。選挙期間中、所沢関連コミュニティに登録している不特定多数のユーザーのページを閲覧し、「足あと」と呼ばれるアクセス履歴を付けた。
 足あとの「水村篤弘」という履歴をクリックすると、水村市議のページにジャンプする。本名で登録するユーザーも少ないことから、「この足あとはだれだろう」と思った多数のユーザーが、水村市議のページを閲覧したとみられる。
 この行動にミクシィ内の「所沢市」コミュニティには、「うちにもきた」といった書き込みが100件以上も相次いだ。このため、コミュニティ管理人は所沢署に連絡したという。実際の選挙で水村市議は2815票を得て当選した。

 当の水村市議を直撃すると、ミクシィに開設したページが自分のものと認めた上で、「ちょっとあの…、事務所の方に確認してみないとお答えのしようがない」。さらに問い詰めると、「その件に関してはコメントを差し控えたい」と繰り返した。
 この行動に所沢市選管は「ミクシィのページ自体は、投票行動を呼びかける文言はないのでただちに違反とはならない。『足あと』は積み重なり具合、頻度による。最終的には捜査当局の判断になる」と話す。
 ユーザーが800万人を超えたミクシィでは、無数の候補者が自身のアピールを登録している。だが、ホームページ(HP)による選挙運動は公職選挙法の「法定外の文書図画の頒布(はんぷ)」にあたり、禁止となっている。
 「選挙とは関係ない通常の政治活動の内容であれば規制の対象とはならない」(総務省選挙課)としており、ブログやHPの開設は内容によって可能。しかし、公選法に抵触するのを恐れ、候補者は通常、選挙期間中の更新をストップする。

 ミクシィを検索すると、ほかにも同様の「足あと」戦法を期間中に行った候補者が東京23区内を中心に、複数いた模様。一方、「足あと」はツールを使って不特定多数のユーザーに付ける迷惑行為が横行しており、エロサイトや怪しい儲け話にリンクするケースが圧倒的となっている。

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