ソーシャルゲーム(ソシャゲ)業界が苦戦を強いられている。DeNA、グリー、mixiなど、スマホゲームを手掛けるIT企業の直近四半期の業績は軒並み減収減益。各社、ゲーム以外の事業にも力を入れ始めているが、ゲーム分野の落ち込みをカバーするには至っていない。
背景には、特定のゲームタイトルから離れるユーザーがいるのにくわえ、ソシャゲそのものから離れてしまうユーザーが増えている点も挙げられるだろう。ソシャゲを敬遠しはじめたユーザーたちの声を聞いた。
20代男性会社員・Aさんは今年の夏まで複数のソシャゲをプレイしていたが、この秋にすべて“引退”したという。
「移動中の暇つぶし感覚で始めたのに、いつの間にか生活のすべてを支配し出したことがやめた大きな理由です。朝起きたらまず複数ゲームを起動して、ログインボーナスを取得し、デイリーやウィークリーのノルマをこなし、イベントがあれば走る。そんな生活の中で、無理がたたったのか、体調を崩して会社を休むようなこともありました。でも、しんどいにもかかわらず、布団の中でもずっとスマホだけは手放せなかった。その時、これはもう完全にソシャゲに支配されているなと気が付き、もっと時間は有効活用すべきだと引退を決意しました」(Aさん)
現在は資格取得という目標をもち、早朝や勤務後もコツコツと勉強するようになったAさん。「ソシャゲをやめたことで、ストレスもなくなり、時間に余裕もできた」と言う。
「ランキングや対人戦要素があると、いくら時間をかけても重課金や廃課金ユーザーには勝てない。私のような微課金で時間もそれなりに費やしてきた中間層ユーザーは、そういう部分でストレスになりがち。ソシャゲをやめると、解放された感じで本当にスッキリしました」(Aさん)「ソシャゲのすべてがムダとは思わないが、やめて後悔はない」
30代男性会社員・Bさんは、ソシャゲでゲームを有利に進められるアイテムやキャラクターを入手するために課金するガチャにハマった。だが、「息切れ」を感じたため、ソシャゲをやめた。
「婚約してお金を貯めなければならないと思っているのに、月5万~10万円の課金が止められませんでした。たとえるなら、終わりがないマラソンみたいな感じで、ずっと走っているイメージ。
課金しないと追い抜かれることに焦り、性能インフレのせいで初期キャラが使えなくなることに涙し、人権キャラ(ゲームを進める上で持っていることが大前提とされるほど重要なキャラ)をガチャで入手できないとついていけなくなり、脱落もしくは苦労することになる……。そんな状況に息切れしはじめていました。
この苦痛から逃れたいばかりに、『早くサ終(サービス終了)してくれ運営!』と心で叫んでいたのですが、『あっ、俺がやめればいいだけでは?』と気がつきました。簡単なことでした (苦笑)」
これまでガチャに結構な金額をつぎ込んでいたBさんだが、そこまで深い後悔はないと話す。
「ソシャゲ課金は、『サ終したら金の無駄』『所詮データだから後に何も残らない』などとよく言われますが、ゲームをきっかけに友達もできたし、キャラとの思い出もあるので、すべてムダとは思いません。これからはコンシューマー(家庭用ゲーム)に移行したいと思います。もちろん“リアル嫁”のためにお金も時間も費やしていきます」(Bさん)
姿を消すゲームタイトルもある一方で、毎月のように新たなタイトルがリリースされているソシャゲ業界。ゲームから離れるユーザーも増えつつある中で、業界の生き残り合戦はさらに熾烈を極めていくのかもしれない。