復興のシンボル「あまころ牡蠣」お披露目

宮城県漁協志津川支所(南三陸町)は、東日本大震災で被災した漁業を復活させようと試験養殖してきた1年物の小さくて丸いカキ「あまころ牡蠣(かき)」の 試食会を、同町の「タブの木直販所」で開いた。復興のシンボルとなる新しい特産品のお披露目。来場者は海の恵みに舌鼓を打った。
あまころ牡蠣の身は通常の半分以下の大きさで、女性でも一口で食べられる。産卵前のため、雑味がなく甘いのが特徴。今月から首都圏のオイスターバーなどへの提供を予定している。
11日の試食会では志津川湾で採れた250個が用意され、町内外の家族連れが列を作った。登米市の会社員菅原祐子さん(51)は「甘みが凝縮されていておいしい。日本酒やワインに合いそう」と話していた。
志津川支所は2013年、県水産技術総合センター(石巻市)などと協力してあまころ牡蠣の試験養殖を始めた。志津川湾の種苗を一粒ずつ取り出し、カゴに入 れて育てるため、殻がぶつかり合って丸くなる。採苗から出荷まで半年程度と短く、漁場を有効利用でき、災害リスクも軽減できる。
同支所戸倉出張所カキ部会は震災後、カキの養殖いかだを3割程度に減らし、量から質に発想を転換した。後藤清広会長(55)は「半年で十分な実入りが見込めるのは漁場改革のおかげ。あまころ牡蠣は志津川湾が豊かな海だという証だ」と力を込めた。

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