復興の強力な後押し 東松島と岩沼、環境未来都市に指定

環境負荷の少ない先進的な街づくりを目指す政府の「環境未来都市」に、宮城県内から東松島市と岩沼市が指定された。両市とも東日本大震災で大きな被害を受けており、同事業に関わる政策を復興の足掛かりにしたい考えだ。
 東松島市はメガソーラー(大規模太陽光発電所)など再生可能エネルギーの施設を積極的に呼び込み、15年後には市内の全電力消費量を自然エネルギーで賄う未来図を描いている。
 震災時に電力供給が長期間途絶えた反省を踏まえ、復興計画にも盛り込んだエネルギーの「地産地消」を目指す。
 特に津波で大きな被害を受けた野蒜地区を「MATSUSHIMA(まつしま)自然エネルギーパーク構想」の中心地に位置付けた。浸水地にメガソーラー、集団移転先の高台にバイオマス発電所などを誘致する。
 来年度には民間企業と連携し、野蒜地区の市有地にメガソーラーを設置。その後、徐々に台数を増やし、5年以内に地区内の電力を全て自給、15年後には市全体の消費量を上回る電力をつくるという。
 市は本年度に10億円以上、今後10年間で総額100億円の国の支援を見込む。震災後に支援を受けた環境先進国のデンマークからの人員派遣受け入れも検討されている。
 市の古山守夫復興政策部長は「構想を着実に進め、被災地の中でモデルとなるような復興を遂げたい」と語った。
 岩沼市は震災復興計画の主要施策に位置付けられた「千年希望の丘とエココンパクトシティー」などを提案する。沿岸部に建設予定の「千年希望の丘」は、有害物質を含まないコンクリートがれきを有効活用。公園整備と併せて樹木を植え、景観形成と生態系保全を図る。
 また、震災で浸水し地盤沈下した農地などに太陽光発電を設置。集団移転先にそこから得られた電力を利用する案も検討されている。
 市の高橋伸明政策企画課長は「環境未来都市を目指すことは、環境関連の先端産業を担う企業誘致にもプラスに働き、雇用創出の効果もある。復興計画の強力な後押しになることを期待している」と話している。

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