復興予算20兆円超へ 1兆円上積み 財務相、検討意向

安住淳財務相は3日の閣議後の記者会見で、2011年度から5年間で国と地方を合わせて総額19兆円程度としている東日本大震災の復興予算枠の拡大を検討する意向を表明した。予算枠を1兆円超上積みし、20兆円超に引き上げる見通し。11年度予算の剰余金を財源に、今秋にも議論を始めるが、財源確保は難航が予想される。
 安住氏は「今年の後半から来年にかけて、19兆円の枠を超えざるを得ない状況になる。新たな財源の調達をどうするか、手当てを考えなければならない」と述べた。
 現時点で19兆円の枠に対し、被災地以外も対象にした防災事業を含め、18兆円近い復興予算が計上されている。被災地の市町村による復興計画の策定が進めば、新たな予算が必要になる。東京電力福島第1原発事故で大きな被害を受けた福島県内の除染や再生可能エネルギー関連などの復興・再生事業にも追加費用が必要となる見込み。
 復興予算を20兆円超に増やすには追加財源が必要で、安住氏は11年度予算の剰余金のうち、使い道が決まっていない分を復興に使う考えも表明した。財務省は「11年度の剰余金のうち、1兆2301億円は追加財源にカウントできる」(幹部)とみている。
 ただ、民主党内には景気対策の12年度補正予算を編成し、消費税増税の条件である「経済状況の好転」を確実にしたいとの意見が多い。剰余金の使い道をめぐり、政府と民主党で綱引きになる可能性もある。
 政府は昨年7月に決めた「復興基本方針」で、復興事業の規模を5年間で19兆円程度、10年間で23兆円程度とし、一定期間経過後に見直すと明記していた。

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