復興庁、現体制を10年延長 事業規模は縮小

東日本大震災からの復興の司令塔として2012年2月に発足した復興庁は、20年度末で設置期限を迎える。

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 政府は21年度から10年間延長することを決め、同庁設置法などの改正案を今国会に提出した。道路や防潮堤の整備など被災地のインフラ事業が進んだことで、復興事業費は20年度末までの10年間と比べ大幅に縮小するが、引き続き国が前面に立って対応する構えだ。

 同庁設置法改正案では、21年度以降の復興庁も現在と同様、首相直轄の組織として復興相を置くと明記。復興施策の企画立案や、被災地の要望にワンストップで対応する総合調整機能も維持するとした。

 被災地のインフラ復旧を後押ししてきた「復興交付金」は事業完了のめどが付いたことから、20年度末で廃止。一般会計とは別に復興予算を管理する東日本大震災復興特別会計と、被災自治体を支援する震災復興特別交付税は21年度以降も継続する。

 復興事業費は、21年度から5年間で1兆円台半ばになると試算。20年度末までの10年間の事業費は31兆円台前半の見通しで、復興事業が進んだことで規模は大幅に縮小する。政府は、夏をめどに21年度以降の詳細な事業規模や財源を公表する予定だ。

 21年度以降は、東京電力福島第1原発事故の被災地では、避難指示が解除された地域の生活環境整備や被災者の帰還に重点を置く。地震・津波被災地では、被災者の心のケアや産業振興などに取り組み、5年間での事業完了を目指す。5年後の25年度に進捗(しんちょく)状況を検証し、その後の事業を見直す方針だ。 

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