政府は3日、2021年度以降の東日本大震災からの復興施策を規定した法案を閣議決定した。復興庁の10年間延長が柱。25年度末までの復興事業完了を目指す地震・津波被災地は支援対象を絞り込みつつ、東京電力福島第1原発事故の被災地は移住促進、風評被害への対応を加えた。
今国会に一括提案するのは復興庁設置法、福島復興再生特別措置法など5改正法案。成立すれば、来年4月施行の見通し。
21年3月末が設置期限の復興庁は31年3月末まで延長する。引き続き専任閣僚を置き、復興予算の一括要求など省庁を横断する調整機能を残す。
復興特区制度の金融、税制、規制の特例について、津波被害が甚大な地域に重点化する。インフラ復旧を後押しした復興交付金事業は終了のめどが立ったと判断し20年度末で廃止する。
当面10年間で本格的な復興を進める原発事故の被災地に対しては、住民の帰還環境整備に加え、移住者を呼び込む施策を支援する。観光業や農林水産業向けの風評対策、ロボットなど新産業の集積を後押しするため、課税特例を規定した。
一般会計から切り離して復興予算を管理する特別会計は存続。財源の確保策として、復興債の発行期間は25年度末まで延長する。
田中和徳復興相は3日の閣議後記者会見で「法案の早期成立を図り、創生期間後も復興に全力で取り組む」と述べた。