大手ビールメーカーが苦戦する中、地ビールの出荷が好調だ。東京商工リサーチによると、全国56社の地ビールメーカーの平成23年1~8月の出荷量は前年同期比9・2%増。東日本大震災後はほぼ2けた増で、地区別では東北地区が15%増と最も高い伸びを示した。復興への「応援」需要も追い風になったようだ。
東京商工リサーチは全国69社の地ビールメーカーを調査。56社から具体的な出荷量の回答があり、残りの13社は増減だけを答えた。
56社の地ビール出荷量は3月は震災の影響で減ったが、4~7月は2けた増で推移し、8月も8・7%増えた。半面、大手メーカー5社は工場被災や流通網の寸断が響き、3月が10%超の大幅減となり、4月以降もさえない状況だ。
1~8月の累計で、出荷量が増えたのは37社(増減のみ回答の社を含む)。29社が減少し、3社が横ばいだった。
増加の理由として6社が「観光客の増加」を挙げ、東北の4社は「復興に向けた応援需要」と回答した。東北では「銀河高原ビール」(岩手県西和賀町)が全体を牽引(けんいん)。「大手メーカーの供給難が契機」とした企業もあった。
減少の理由では、設備被害など「震災の影響」とする回答が最も多く震災が逆風になった企業もあった。
東京商工リサーチは「復興への応援特需のほか、ささやかなぜいたくとして、家庭用に地ビールを選ぶ消費者が増えている」と分析している。