復興担う綿々、ジーンズに 被災田で栽培、栗原の工場製造

東日本大震災の津波で浸水した水田で綿花を栽培し被災農家を支援する「東北コットンプロジェクト」で、初の商品となるジーンズ生産が栗原市の工場で本格化している。県内の生産農家が5日、初めて工場を訪れ、出来上がったジーンズに感激の表情を浮かべた。商品販売は23日に始まる。
 ジーンズを生産しているのは東北タクト(栗原市)。「リー」や「エドウイン」など一流ブランドの主力工場になっている。リーはプロジェクトの構成メンバーで、被災地にある東北タクトに今回の製造を任せた。
 生地の裁断と検査が栗原市一迫の同社本社工場で行われた後、鶯沢工場に移送。「仙台東部地域綿の花生産組合」の生産者が見守る中、従業員は真剣な表情でポケット付けなど縫製をした。
 赤坂芳則組合長(62)は「形が見えて感激でいっぱい。関係者の思いが詰まっており、購入者に伝わればうれしい。復興のエネルギーになってほしい」と願った。
 東北タクトも空調や配水管が壊れ、生地が水浸しになった。山崎正栄社長は「従業員の励みになる。製品は一流ブランドと同様の出来栄えで、世界に発信したい」と語る。
 プロジェクトに加わるのはアパレル会社など58社・団体。仙台市若林区荒浜と名取市の水田1.6ヘクタールから80キロ収穫し、生地材料の綿に5%混入した。ジーンズは男性用、女性用、女性用ショートパンツを各200本作り、他にポロシャツ、タオル、ストールも生産する。ことしは栽培面積を8ヘクタールに拡大し、8トンの収穫を目指している。
 ジーンズは23日に東京・六本木の東京ミッドタウンで、24日には仙台市のエスパル仙台店でイベントを開いて販売。プロジェクトのホームページでも扱う。連絡先はプロジェクト事務局03(5414)6273。

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