復興支援慈善サッカー、仙台で28日 盛岡出身小笠原に聞く

日本プロサッカー選手会による東日本大震災の復興支援慈善試合「チャリティーサッカー2013」が28日、仙台市泉区のユアスタ仙台で行われる。盛岡市出身で、震災直後から積極的に被災地支援を続けてきた小笠原満男選手(鹿島、岩手・大船渡高出)に今回の慈善試合に懸ける思いや復興への願いを語ってもらった。(聞き手は金野正之、剣持雄治)
<つらさ肌で感じる>
 -岩手県出身の東北人。チャリティーサッカーには思い入れが強いと聞いている。
 「妻の実家が陸前高田市で海岸から歩いて5分くらいの場所で、すぐ近くまで津波が来た。自分も震災直後に物資を持って駆けつけ、1週間ほど電気や水道が使えない生活を体験した。目に見えて復興が進まないもどかしさや、寒い冬に仮設住宅に住み続けなくてはいけないつらさは、見聞きして肌で感じている」
 「もう2年9カ月、すでに元の生活に戻れているのが本来は一番だったと思う。全体的に震災直後は盛んだった支援活動が減り、忘れられかけているというのが被災地の思い。この試合が復興に向かう何かのきっかけになってほしいし、被災地で頑張っている方の胸に届くプレーをしたい」
 -自身が発案した大船渡市の旧赤崎小跡地の仮設グラウンドが今春、完成した。発起人の一人でもある東北出身選手による「東北人魂を持つJ選手の会」などで、被災地訪問など支援を継続している。
 「2年前、大量の喪中はがきが届いた。地元と思っている大船渡や陸前高田の人たちが思った以上に大勢被災したと感じた。被災県出身でなければこれほど行動できなかった。子どもたちにしても、震災で練習場所や用具などを失い、サッカーを続けられなくなる子をできるだけ出したくない。震災を乗り越えた子どもたちはきっと強くたくましくなれるはず。Jリーグを目指す夢を支えたい。子どもたちの笑顔は父母や地域、自分の活力にもなる」
<行動起こす契機に>
 -試合前日に岩手、宮城、福島の3県で小学生とサッカー交流も予定されている。少年たちへの支援に特に力を入れているが。
 「小学生の時に盛岡市で(1968年メキシコ五輪得点王で銅メダル獲得に貢献した)釜本邦茂さんのサッカー教室に参加したのが自分自身の原点。『すごいなあ、自分も釜本さんみたいになりたい』と思った記憶が今も心にある。被災地の子どもたちはつらい記憶をなかなか振り切れないでいると思うけれど、プロ選手とサッカーしたというのは一生の思い出になると信じている」
 -チャリティーサッカー事務局によると、動員目標1万人には前売り段階で達していない。最後にサッカーファンにメッセージを。
 「勝負に徹したJリーグの試合にはない楽しく盛り上がれるプレーで喜んでもらいたい。観戦ついでに足を延ばす気分で被災地を回ってくれてもいい。各地の現状を知って、何か行動を起こすきっかけを得てもらえればうれしい」

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