復興策、宮城知事に合格点 県内全首長アンケート

 村井嘉浩宮城県知事は20日、2期目の任期満了(2013年11月20日)まで残り1年となる。河北新報社は今期3年間の県政運営について、宮城県内全35市町村の首長を対象にアンケートを実施した。全ての首長が「県政全般」「東日本大震災の復旧・復興策」を高く評価した。「福島第1原発事故の対応」については、3割近くの首長が「あまり評価できない」としてやや批判的な姿勢を示した。
 全般的な県政運営に対する姿勢の評価は「評価できる」が28人(80.0%)、「ある程度評価できる」が7人(20.0%)。「あまり評価できない」「評価できない」の回答はゼロだった。
 震災からの復興に向けた手腕も「評価できる」22人(62.9%)、「ある程度評価できる」13人(37.1%)と、全員が知事の震災対応に合格点を与えた。津波被害が甚大だった沿岸部の15市町に限って見ても、10人(66.7%)が「評価できる」と回答した。
 汚染物質の処理、風評被害対策など原発事故対応に関しては、回答が割れた。飛散した放射性物質の影響が比較的大きかった仙南、県北部を中心に10人(28.6%)が「あまり評価できない」と答えた。「まあまあ評価できる」は24人(68.6%)。「評価できる」は1人だった。
 震災後に県と市町村が共同申請して認められた「民間投資促進特区」による企業誘致、雇用面の成果も尋ねた。「効果を生んでいる」「まあまあ効果がある」が計23人(65.7%)だった。7人(20.0%)が「あまり効果がない」と答えた。
 震災時の課題として浮上した県と市町村との連携、意思疎通については「ある程度できている」が27人(77.1%)を占めた。「十分」「あまりできていない」はそれぞれ4人だった。
[調査の方法]対象は宮城県内35市町村の首長。村井嘉浩宮城県知事の県政運営に関する10項目の質問を設け、11月上旬に回答用紙を送付した。回収率は100%。
◎富県戦略、高く評価
 村井嘉浩宮城県知事の県政運営をめぐる首長アンケートでは、経済、福祉など5分野の施策展開に対する受け止め方も聞いた。いずれの分野も評価する回答が7割以上に上った。中でも製造業を軸に県内経済基盤の強化を目指す「富県戦略」への高評価が際立った。
 富県戦略を「評価する」としたのは23人(65.7%)。「まあまあ評価する」も11人(31.4%)に上り、「その他」の1人を除く全員が同調した。セントラル自動車(現・トヨタ自動車東日本宮城大衡工場)など大型企業の誘致が急進展したことが影響しているとみられる。
 「農水産業の振興」に対しては、「評価する」「まあまあ評価する」が合わせて28人(80.0%)だった。沿岸15市町のうち14人(93.3%)が評価する意見を寄せており、水産業関連で一定の政策効果を生んでいる状況がうかがえる。
 子育て、高齢者対策といった「福祉の充実」では、8人(22.9%)が「あまり評価しない」と回答し、やや不満があった。「評価する」「まあまあ評価する」は計25人(71.4%)で分野別で最も少なかった。
 「教育振興」は批判的な意見こそ目立たなかったが、「評価する」は分野別で最も少ない4人(11.4%)だった。「行財政改革」については高評価が8割を占めた。

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