復興願う硯箱セット 伝統工芸作り手、共同開発

いずれも国の伝統工芸品に指定されている秋田県湯沢市の川連漆器、宮城県石巻市の雄勝硯(すずり)、福島県浪江町の大堀相馬焼の製造業者らが硯箱セットを開発した。「復興祈念セット」として、6~8日に東京で開催されるギフトショーで発表する。
 伝統工芸品の作り手が共同開発するという珍しい事業で完成したセットは、川連漆器の箱、雄勝の硯、大堀相馬焼の水入れの水滴から成る。大小10種類ずつあり、価格は大が20万円前後、小が7万円前後を想定している。
 湯沢市の漆芸家で河北工芸展顧問の沓沢則雄さんがデザイン全般を監修。復興に向け、明るいイメージをテーマにした。絵柄はクジャクやボタンなど日本的なものにしている。沓沢さんは「明るさを表現するために、硯箱には鮮やかな色彩を取り入れた。作り手の復興への願いや未来への希望を感じていただけたら」と話している。
 東日本大震災で被災して苦境に陥っている産地の復興を目指そうと、秋田県漆器工業協同組合が、雄勝硯生産販売協同組合と大堀相馬焼協同組合に呼び掛け、国の補助事業を活用して取り組んできた。雄勝硯生産販売協同組合の沢村文雄理事長は「硯産地の復興に向け、さらなる一歩を踏み出すことができた」と喜ぶ。
 硯箱セットは9、10の両日、湯沢市で行われる小正月行事「犬っこまつり」の会場でも展示される。

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