菅義偉官房長官は8日の記者会見で、韓国の李洛淵首相が元徴用工訴訟を巡る日本政府の対応を批判したことに「判決は日韓請求権協定に明らかに反し、極めて遺憾だ」と反論した。李氏は7日「日本の指導者たちが過激な発言を続けていることに深い憂慮を表明する」とコメントしていた。
1965年、日韓基本条約が調印された際に締結した日韓請求権協定で、徴用工の補償問題は「完全かつ最終的に解決済み」となった。国交を結ぶということは、今までのことは水に流してこれからは仲良くやりましょうという約束だ。
韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏は「そのために日本は有償無償と民間借款で計8億ドルの援助をし、かつ技術支援を韓国にしてきました。支援企業の筆頭が八幡製鉄所(現新日鉄住金)、日本鋼管をはじめとした日本の製鉄各社です。八幡製鉄所は自社とレイアウトまで同じ製鉄所を韓国に造り、技術指導にあたりました。これが現在の韓国最大手の製鉄会社ポスコの礎となっています。しかし、ポスコは新日鉄の虎の子である方向性電磁鋼版の技術を盗み出すなど、恩をあだで返してきました」と語る。
韓国は8億ドルを個人補償に回さず、国の経済復興に充てて“漢江の奇跡”と呼ばれる経済発展を成し遂げた。なぜ、恩をあだで返すかのような判決を韓国政府も後押しするのか。
「韓国では、恩を受けると、自分が道徳的下位になるので、恩に着るということはありません。むしろ、自分が下位に置かれたことで、恨(ハン)になります。それを解く(ハンプリ)ために、恩をくれた相手に復讐するのです」と但馬氏。
華夷秩序(中国皇帝を頂点とする国際関係)で弟とみなして蔑みの対象である日本から受けた恩は、それだけ大きな恨になるだろう。
但馬氏は「『今は仕方がなく日本に頭を下げて援助と技術をもらうが、いつか経済的に大国になって、この屈辱を(日本に)10倍返しにしてやる』――それが、韓国人のバイタリティーのもとになっていると思えば分かりやすいでしょう」と指摘している。