必要な家庭利用できぬ 仙台市、児童クラブ時間延長で有料化

小学生らが放課後を過ごす児童館児童クラブの利用時間を延長し、新たに有料化する仙台市の方針に、児童館を運営する団体の指導員から反対論が出ている。「子どもの生活リズムが乱れる上、料金が支払えず本当に必要な人が利用できなくなる」というのがその理由。伸びる児童館需要を背景に、市はサービス拡充と受益者負担を一対にした見直しに理解を求めている。
 市の方針では、保護者のニーズを受けて利用時間を現行より1時間15分延長し、午後7時15分までとする。夏休みなどの学校長期休業中は開始を1時間早め、午前8時からに変更する。
 市は利用料の目安として、運営経費の半額を保護者負担とする国のガイドラインを前年度実績に反映させ、1人当たりの月額経費を約8700円と試算した。おやつ代は含まれない。生活保護世帯などは減免する考え。2012年夏の導入を目指す。
 市内105の児童館のうち、83館の指定管理者を担う市の外郭団体仙台ひと・まち交流財団の児童館職員労組は「子どもが帰宅後に夕食や入浴、宿題を済ませたら、就寝は大人並みに遅くなる。心身の健康が損なわれる」とし、方針の撤回を求めている。
 有料化への反発も根強い。青葉区内の児童館を運営するNPO法人職員(57)は「おやつ代や保険料など月2000円の実費分が払えず、独りで留守番する子どももいる。ケアが必要な家庭ほどサービスから遠ざかる」と懸念する。
 市内の児童館は、ハード面でばらつきがある。クラブの専用室がない施設も珍しくなく、「各館で条件が異なる中、一律料金でいいのか」との指摘もある。
 市によると、クラブの利用者は年々増え、小学1~3年の全児童に対する利用率は、07年度の15.4%から11年度には22.7%に伸びた。震災後、子どもを預けて働く親が増加し、需要はさらに拡大する可能性がある。
 市子供育成部は「子育て・就労支援施策を将来も続けるには、財政基盤の確立が急務。放課後の子どもの安全を確保するというサービスに、負担をお願いすることは避けて通れない」と説明する。

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