必要最低限の「15個のモノ」しか所有しない男 アンドリュー・ハイドの生き方

その昔、坂口安吾という作家がいた。彼は物を所有すること、いや、所有した物に束縛されることを極度に拒み、お金や家具・食器を持たない生活に努めた。作家になったばかりの頃は、食うのに困るほどの原稿料であったにも関わらず、原稿料が入るとその日に使い果たし、家には鍋ひとつさえも置かないように努力していたのである。
当時の安吾を彷彿させるような人物が、米ニューヨークにいた。その人物は、たった15個の必要最低限の物しか持っていない。しかし安吾とは少々勝手が違うようで、食うのに困るようなことはない。増してホームレスという訳でもなく、ホテルで暮らしているようだ。
ちょっと変わった生活を送っているアンドリュー・ハイドは、パンツと靴下を除いて15個の物しか所有していない。彼が所持している品は次の通りだ。
 
・ アンドリュー・ハイドが所有する15個の物(パンツ・靴下を除く)
バックパック
シャツ
レインジャケット
Tシャツ
ランニング用ショートパンツ
タオル
ウールジャケット
洗面用具
サングラス
財布
MacBook Air
iPhone 3GS(2011年5月当時)
ドレスシャツ
ジーンズ
ランニングシューズ
 
ここにパンツと靴下は含まれていなが、それらを入れても大した物を持っていない。ニューヨークとシリコンバレーを行き来し、オフのときには長期間の旅行に出かける彼にとって、決まった場所で生活することは負担であった。また、普段はコンサルタントとして働き、世界規模のイベント手がけており、決まったオフィスに出社することもない。時間とお金はある程度、自由がきくのである。
ある時に、「最小限主義」に興味を持った彼は、まず所持する物を100個に集約することから始めた。そうしたところ、ほとんどのものが無駄であることに気付き、他の物で代用できると思った物は片っ端から処分。結局今の15個に行きついたのだ。
彼によれば、シャツは2枚しかないのだが、交互に着るようにすれば、ファッションに悩むことはなくなり、考える時間を省けるそうだ。しかし今後はカメラとiPadを手に入れた方が良いと考えているという。
限りなく自由に近い生活、うらやましくも思うのだが、彼のように所在を問わずに働ける人はなかなかいない。また収入がある程度安定していなければ、気ままに生きることも難しいだろう。彼の生活に憧れはするものの、簡単に真似のできることではないだろう。

タイトルとURLをコピーしました