思い、託す 東日本大震災、きょう2年

◎光に/名取・閖上、追悼の絵灯籠5500基
 東日本大震災の犠牲者の霊を慰め、地域の復興と再生を願おうと、名取市閖上で10日、絵灯籠で「光の道」をつくる追悼イベント(市観光物産協会主催)があった。
 同市閖上地区で犠牲者が多数出た沿岸部の日和山から閖上中まで約1.2キロの道沿いに、国内外から寄せられた手書きの絵を張り合わせて作られた絵灯籠5500基が並べられ、犠牲者の霊を安全な場所へと導く「光の道」ができた。
 閖上中であった式典では、阪神大震災の犠牲者を慰霊した竹灯籠600基と神戸市のガス灯「希望の灯(あか)り」の火が同市から届けられ、閖上の灯籠にともされた。津波が到達した時刻に合わせ参列者が黙とうし、閖上太鼓保存会や東北大学友会吹奏楽部による追悼演奏もあった。
 津波で生徒14人が犠牲になった閖上中の卒業生らはキャンドル2000本に火をつけ、犠牲になった生徒らを追悼した。「光の道」は強風で予定より縮小され行われた。
 市内の仮設住宅から参列した自営業長沼俊幸さん(50)は「閖上で亡くなった人たちに全国からたくさんの思いが寄せられ、大変ありがたい。閖上はいまだ復興の兆しが見えていないが、少しでも希望を持ちたい」と話した。
◎音楽に/佐村河内さんの鎮魂曲、石巻で初演
 30代で聴力を失ったクラシック音楽作曲家の佐村河内(さむらごうち)守さん(49)=横浜市=が、東日本大震災の犠牲者にささげるために作ったピアノ曲「被災地のためのレクイエム」が10日、石巻市湊小で初めて披露された。
 被災した学校の体育館を会場に、国際的なピアニストの田部京子さんが演奏。被災地への愛と悲しみが込められた美しい調べに、約250人の聴衆は心を癒やされた。
 演奏を見守った佐村河内さんは「闇は深ければ深いほど、光の美しさを実感できる。被災した方々が『今生きている』ということの尊さを知ってもらえれば」と話した。
 曲作りの過程で石巻市などに足を運んだ。そこで出会った湊小の女児(10)と再会を果たし、佐村河内さんは「彼女と対話を重ねる中で、やり場のない悲しみや犠牲者への深い愛を感じることができた」と振り返った。
 同市湊町の無職阿部幸子さん(71)は「素晴らしいメロディーで、作曲者の被災地を思う気持ちが伝わってきた」と感動した様子だった。
◎天に/229人犠牲、石巻・雄勝町で三回忌法要
 東日本大震災で229人が死亡・行方不明になった石巻市雄勝町で、地元の五つの寺でつくる寺院会は10日、三回忌慰霊法要を大須小で営んだ。自宅を失い地元を離れて暮らす住民も駆け付けて約500人が、津波で命を落とした家族や友人らの冥福を祈った。
 犠牲者一人一人の名前が読み上げられ、参列者が焼香した。龍沢寺の山脇裕三住職は「震災から2年がたち、亡くなった人にとっては三回忌の節目。遺族には慰めの言葉も見つからないが、法要が心の平穏につながればと思う」と述べた。
 津波で93歳の母を亡くしたという会社社長阿部勝利さん(70)は「高齢だったが、元気でもっと長生きしてくれると思っていた。安らかに眠ってほしい」と目を伏せた。
◎海に/気仙沼・小泉海岸でサーファーら慰霊祭
 気仙沼市本吉町の小泉海岸で10日、サーファーらによる東日本大震災の犠牲者の慰霊祭があった。集まった仲間たちは、県内有数の海水浴場だった砂浜の早期復興も願った。
 本吉サーフィンクラブと地元のサーフショップが主催。東北各県、関東地方などから約60人が参加した。全員で30分ほど浜の清掃をした後、献花台が設けられた旧海水浴場駐車場付近に集合。一人ずつ献花し、全員で海に向かって黙とうをささげた。
 支援活動で静岡県湖西市から訪れたキャンプ場経営佐々木善之さん(33)は「大きな災害で二度と悲しい思いをしないように願った」と話した。一関市の保育士山中裕子さん(38)は「早く以前のように海水浴が楽しめる浜に戻ってほしい」と願った。

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