今、歌舞伎町の”夜職女子”の間で「海外出稼ぎ」が盛んに行われている。コロナ禍による不景気の影響からか、外国に行って売春をする女性が急増しているのだ。
これまでの一番人気はアメリカ。だが、彼の国はかなり警戒を強めており、若い日本人女性が一人で入国する際には厳しく審査が行われるようになったという。なかには、「スマホの画像フォルダに水着の写真がある」というだけで売春目的と見なされ、強制帰国させられた子もいる。
そのため、最近は中東・ドバイに王族相手のビジネスをしに行ったり、東南アジアへ出稼ぎに行く女性もいる。国内ではほとんど報じられていないが、実は「日本人出稼ぎ女子」はいまや世界的なトピックなのである。
各国が取り締まりを強化するなか、何と実際に拘束されるケースまで発生。東南アジア新興国に出稼ぎに行って逮捕された、現役女子大生のミサキ(仮名・22)に話を聞いた。
「今年1月で担当(指名しているホストのこと)がホストを辞める予定だったんです。だからその前に1000万円でシャンパンタワーをしてあげたいと思って……。そのお金を集めるために、海外出稼ぎに行くことにしました」
海外出稼ぎ女子の多くは、現地の風俗店や客を斡旋するコーディネーターとSNSなどを通じて連絡を取り、条件などを決めた上で渡航する。女子大生をしながら都内の風俗店で働いていたミサキが選んだのは、ある東南アジア新興国だった。
「海外出稼ぎは以前もしたことがあって、そのときは一日で20万円以上稼げました。だから今回も稼ぐなら海外かなって。日本だとなかなか20万円はいかないですから。その国での案件は、60分のプレイ時間で客払いが5万円、そこから女の子に7割入るというものでした。『それは行くしかない!』と思い、2週間の予定で12月半ばに入国しました」
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ミサキが働くことになった店は、嬢が宿泊するホテルに客が来るというシステム。入国自体は無事に進み、当初は仕事も順調だった。毎日、現地から歌舞伎町にいる担当ホストと連絡を取り、タワーの日を楽しみにしていた。
ホストが会いに来てくれた
だが、働き始めて1週間、残り半分という日に事件は起きた。
「いつも通りお客さんを自分のホテルの部屋に通して、プレイ料金を受け取ったんです。そしたら、その瞬間に手錠をかけられて逮捕。あっという間に現地の警察署に連れて行かれて勾留されました。『臭いメシ』って言うんですか? まさか自分が食べることになるとは思わなかった。死ぬほどビックリしましたよ」
「日常会話レベル」という英語で何とか取り調べに答えたミサキは、2日間勾留された後に釈放された。どうやら現地警察は、ミサキ本人の逮捕が目的ではなく、裏で手を引く売春組織そのものを摘発したかったようだ。釈放からしばらくして再び警察に呼び出されたミサキは、店のシステムやオーナーについて細かく取り調べを受けたという。
「ひと通り事情聴取が終わったら、『帰っていいよ』って言われました。だけど、スマホもパスポートも没収されたので、日本には帰国できない状態です。最初に逮捕されたときに担当ホストに連絡して事情を説明してあったので、彼がスマホを買ってこっちまで会いに来てくれた。それで何とか今はライフラインを保っています」
パスポートがないため、逮捕されてから丸3ヵ月が経とうとする今も、ミサキは東南アジア新興国で生活している。
「売春組織のオーナーも捕まったらしいので、彼の裁判で私を証人にしたいんじゃないですかね。裁判の日程は決まっているらしいんですが、私がいつ帰れるのかはまったく知らされていません。何だかこの国の警察は、すべての仕事が遅いんですよ(笑)」
実はミサキは、この春に大学を卒業予定だった。すでに内定ももらっていたが、4月から働く就職先にはまだ何も説明していないという。
「4月のギリギリまで待って、帰国が無理そうだったら連絡を入れようかなって思っています。まだ望みは捨てていないです(笑)」
出稼ぎもできず、帰国もできなくなったミサキは今、東南アジアでどのように生活しているのか。
「ほとんど引きこもりです。担当ホストが月に一度来てくれて、生活費とか必要なものを渡してくれます。それ以外は特にすることもない。でも、友達ができたんですよ。日本食が食べたすぎて現地の和食レストランに行ったら、日本人が話しかけてくれて。そこから日本人コミュニティにちょこちょこ顔を出すようになりました。ネットも繋がるし、ギリギリ生活はできていますね」
ホストクラブに通っていることも風俗店で働いている