埼玉県が8日に県営公園での水着撮影会を禁止したことで波紋が広がっている。
事の発端は日本共産党埼玉県委員会や同県議団が、今月24~25日にしらこばと水上公園で開催される水着撮影会「近代麻雀水着祭2023」について、都市公園の設置および管理に関する基準等を定めた「都市公園法第1条」に違反するとして、6日に口頭、8日に文面で埼玉県に会場の貸し出しを禁止するよう申し入れたことだった。
これを受けて埼玉県は即日、類似の水着撮影会を開催予定だった各主催者に会場の貸し出し禁止を通達。結果、直近では10日に開催予定だった別の水着撮影会「フレッシュ撮影会」が急きょ中止を発表した。
日本共産党埼玉県委員会と同県議団は、過去の「近代麻雀水着祭」に水着姿の女性がわいせつな姿で写っており、今回の参加者に未成年モデルが含まれることを「性の商品化だ」と問題視。埼玉県公園スタジアム課の担当者も「指摘を受けて確認した結果、淫らなポーズを禁止するなど定めた貸し出し許可の条件書違反を確認した。今後は水着撮影会への県営公園貸し出しを一律で禁止した」。
こうした事態を受けて、日本共産党埼玉県委員会に苦情の電話が殺到。担当者は「性の商品化に反対してるのであって、水着撮影会の禁止を求めているわけではない」とした。
とはいえ、納得いかないのは水着撮影会の主催者たちだ。突然の〝禁止通達〟に困惑を隠せない。10日の「フレッシュ撮影会」を急きょ中止せざるを得なくなったエーテルの植田章太郎氏は、「貸し出し禁止の理由を埼玉県から明確に説明されていない。とにかくルールを明文化してほしい」。埼玉県が貸し出し許可の条件書違反があったと主張することには、「弊社にはそういう事実はない。会場ルールは全て守る方針。モデルの年齢を求められればリスト化して送るし、今後はモデルのポーズもスタッフの見回りを強化して対策していく」と話した。
一方、日本共産党埼玉県委員会や同県議団から問題視された「近代麻雀水着祭」を主催する竹書房は、「現在、運営会社に詳細を確認中」としてコメントを控えた。
過去に「近代麻雀水着祭」に参加したことがあるモデルはグラビア活動で一定の収益があることから「こんな感じでイベントが潰されると本当に困る。そもそも楽しく活動しているし、このためにダイエットなどボディメイクも頑張ってきた。アイドルの子なんかは、グループの中でも出ている子、出てない子がいたりする。強制参加じゃないなら別にいいでしょ!」と怒り心頭だ。
果たして今回の貸し出し禁止措置に妥当性はあるのか? 弁護士法人プロテクトスタンスの小林久貴弁護士は「もし、埼玉県が貸し出し許可の条件書に違反した事実だけをもって貸し出し禁止にしたなら、よほどひどい違反でない限り裁量権の逸脱・濫用に当たる可能性がある。違反によって何らかの支障が生じたなど理由が必要で、貸し出し禁止より先に指導するなど別の対策があったのではないか」と解説。
また、日本共産党埼玉県委員会や同県議団が、都市公園法第1条違反を主張することには「よほどひどい運営状態なら違反と言えるが、今回出ている情報だけでは違反とは言えないのではないか」と見解を示した。
とはいえ今後、各自治体が追随すれば、野外での水着撮影会場が著しく減ることになる。