先日、業務で連携している「復興大学災害ボランティアステーション」が企画した災害ボランティア座談会の手伝いで、ある大学の学生と語らいました。
参加したのは全員1年生で、発災当時はまだ高校生だった人たちです。震災関係のボランティア経験者はほとんどいませんでしたが、「これから被災した人たちの役に立つことをしたい!」と意気込んでいました。今後の活躍が楽しみです(もちろん、我ら東北学院大学の学生たちも!)。
座談会が和やかに進む中、ある女子学生が私に質問をしました。
「被災地でいろんなボランティア団体が活動しているのは知っていますが、怖くて参加できません。どの団体が『大丈夫』で、どの団体が『危ない』のか分からないので、教えてください」
その発想はなかった!
私は心の中で叫んだ後、「そう言うのも無理はないな」と納得しました。
ありがたいことに、東日本大震災の被災地には数多くの団体が入り、日々復興のために尽力しています。
しかし、それぞれの形態や設立経緯、歴史、実績などは千差万別です。
法人格を持っている団体、NPO・NGOである団体、パブリックな組織がサポートしている団体、有志が集まる任意団体、震災前から世界各地で支援活動を行っていた実績のある団体、震災発生を機に立ち上がったニューフェイスの団体、自分たちの思想信条に則り支援の手を差し伸べる団体、復興だけではなく町おこしも実現しようと試みる団体、ガテン系から仮設住宅支援まで何でもこなす団体…。細分化しようと試みても、キリがありません。
これらの団体を、ボランティア団体に関して何も知らない人が見ると
「運営母体が宗教に関係しているから、活動に参加したら勧誘されるかもしれない…」
「任意団体って、活動資金をどこから調達しているのか不透明だ。活動参加者からお金を巻き上げているのか、それとも裏で何か取引が…」
「NPOは知ってるけど、NGOって何? 聞いたことないから怖いなぁ…」
などと、疑心暗鬼に陥ってしまうんだろうな、と想像しました。
不安を解消するには、団体に関する「正確な情報」を入手することが肝要です。
各々がホームページやブログ、ミニコミ紙などを用いて独自に発信している情報を確かめることも大切ですが、第三者の視点も重要です。
私が知る限り「助けあいジャパン」「ボランティアインフォ」「東北1000プロジェクト」、忘れちゃいけない私が共同代表の一人だった「情報ボランティア@仙台」など、取材や情報発信に特化した団体の情報は、客観性が高いと思います。
また、私が現在所属する「東北学院大学災害ボランティアステーション」では、ボランティア募集依頼が来たら、これらの団体の取材情報も必ずチェックをします。信頼できる団体の情報のみ学生たちに伝えてきたので、大きなトラブルが起きたことは今のところありません。恐らく、他の教育機関も同じだと思いますので、学生は各校にある組織を窓口に、震災ボランティアの一歩を踏み出すのが安心だと思います。
もちろん「河北新報」や「オピのおび」で紹介されている内容も参考になるでしょう。その人それぞれに合いそう、できそうな活動先が見つかることを願います。
さて、私は質問してきた女子学生に、どんな返事をしたでしょうか。
答えは皆さまのご想像にお任せします。
(仙台市・東北学院大災害ボランティアステーション嘱託職員 岩崎真実)