愛島球場の再開を アマ関係者、県営化熱望 名取

東日本大震災で被災し閉鎖された民間の愛島球場(宮城県名取市)を「仮の宮城県営球場」として再開するよう、県内のアマチュア野球関係者が熱望している。県営球場はプロ野球東北楽天の本拠地・楽天Koboスタジアム宮城(コボスタ宮城、仙台市)で、アマチュア利用が制限されているためだ。関係者は仙台からの交通アクセスの良さを挙げて愛島球場の再開に期待するが、県は「巨額の補修費がかかる」と否定的だ。
 「10月末の秋季東北地区高校野球大会の主会場はコボスタ宮城にしたい。ただ昨シーズンのように東北楽天が日本シリーズに進出する可能性があり、ぎりぎりまで決められない」。宮城県高野連の幹部が頭を抱える。
 東北大会の宮城開催は震災後初となる。県高野連は次善の策としてコボスタ宮城並みの施設規模を誇る石巻市民球場(石巻市)の利用を想定する。ただ他県チームが宿泊しやすい仙台市からの移動距離が長く、選手たちの負担も軽くない。
 仙台市に近く、駐車場も広い名取スポーツパークにある愛島球場は、アマチュア野球団体にとって使い勝手が良かったが、震災でグラウンドが陥没。球場外周の地盤が沈下した。
 県によると、スポーツパークの補修には最低でも12億円が必要。震災後に経営環境が悪化した所有者の東北電力が2012年6月に閉鎖した。
 住民の要望を受けた名取市などは同年12月、震災復興を支援する「カタールフレンド基金」に補修費の助成を申請したが、結果は不採択。財源のめどは立たないままだ。
 アマチュア野球11団体でつくる県野球団体協議会はことし3月、愛島球場の存続を求める請願書を県議会に提出した。再開には12億円の補修費に加えて地盤改良費や維持費も掛かるため、県は「県単独で費用を負担するのは財政的に困難だ」との立場を崩さない。
 協議会の木村稔会長は「グラウンドの整備や草刈りなど何でも協力する。球場不足は少年野球や社会人野球にも関わる問題なので、県は愛島球場再開の方策を探ってほしい」と話す。

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