従軍慰安婦問題における日韓合意から2週間ーー。
1月13日、朴槿恵(パク・クネ)大統領は新年の会見で日本政府が移転を求めている日本大使館近く(ソウル)に立てられた慰安婦を表す少女像についてこう述べた。
「政府が少女像をどうこうしなさいといえる問題ではない」――。
それ以前に、この少女像については韓国・外務省も「民間が自発的に設置したもので、政府があれこれいえる事項ではない」と強調している。だが、韓国政府のこの姿勢が「おかしい」と指摘するのは『よくわかる慰安婦問題』の著者で東京基督教大学の西岡力(つとむ)教授だ。
そもそも少女像は、市民団体「韓国挺身隊問題対策協議会」が主導する日本大使館前での「水曜集会」の1千回目を祝って2011年12月に設置されたものだが…。
「外交公館(日本大使館)の前に設けられたこの銅像は、実際には違法建造物。『公館の威厳の侵害』などを禁止したウィーン条約に抵触しています。また、少女像が建てられているこの場所は私有地ではなく公道。公道を無許可で占有している点も違法です」
ちなみに中国・河南省では1月9日、地元の村民らが300万元(約5300万円)をかけて建造した高さ37mの故・毛沢東国家主席の巨大な像が、登記や審査を経ていない「違法建造物」として地元当局に取り壊されている。
それぞれ国情も経緯も異なり比較するわけにはいかないが、違法建造物であることにおいて少女像は“政府がどうにかしなければならない問題”なのだ。さらには、水曜集会自体も違法なのだと西岡氏は言う。
「韓国の法律では外国大使館周辺でのデモや抗議集会を違法と定めていますが、主催団体は水曜集会を『記者会見』と言い張り、公道を無許可で占有する形で実施している。こちらも国が規制して然るべきなのです」
日本大使館前の少女像周辺では1月13日も水曜集会が開かれ、「私たちは、直接、歴史をただします。政府は何もするな!」などと激しいシュプレヒコールが鳴り響いた。(参考記事→「慰安婦問題合意に韓国の若者が抗議デモ」)
もはや“無法地帯”と化しているソウル・日本大使館前。今後、朴政権の対応次第で“最終的かつ不可逆的な解決”の行方が問われる。
(取材・文/週プレNEWS編集部)