「人生を変えたい」「夢を実現したい」と思う人は多い。しかし、一体どれだけの人がその実現に向け努力しているだろうか。現役の経営者で陽明学者の 加地太祐氏は、「成功するためには、何より実践が大事」と説く。本連載では、加地氏の初の著書『成功する人の考え方』(ダイヤモンド社より1月16日に発 売)の内容をベースに、成功に必要なポイントをお伝えする。今回のテーマは、成功をめざす人が最も注意しなければいけない病について。
人生最大の病とは
成功する人が最も注意しなければならない病。
それは「傲慢」である。
師は僕に「人生最大の病は傲慢なり」と常々伝えてくれていた。
誰でも、起業した当初は謙虚で何事にも感謝をする。
それはどこか苦しさがあるからだ。
苦しいときや辛いとき、周囲からのあたたかい励ましや助けは、本当に嬉しい。
しかし、ビジネスが軌道に乗り、ちょっとした成功を手にするようになると、この傲慢という病は発症する。
確かに、何かに成功することで喜んだり、感動したりするのは構わない。
しかし、これ以上ない喜びが生まれたとき「有頂天」が生まれ、それまで味わっていた痛みや苦しみを忘れてしまう。
喜びが天井に届いてはいけない。天井に当たれば、後は下るしかなくなる。
「足を知る」という言葉は、喜びという天井が低い人に向けての言葉だ。
自分のことだけで満足する人には、足を知るという言葉が相応しいだろう。
しかし、社会のことや次世代のことを真剣に考えている人には、その言葉は似合わない。
だから、自分の喜びの天井をもっと高める必要があるのだ。
病を防ぐワクチン
この「傲慢」という病は、何も経営者や起業家だけがかかる病ではない。
「これだけ働いているのに」と妻の悪口を言ったり、いつも仕事で頑張ってくれている夫に感謝をしないのも傲慢という病だ。
過去をもう一度思い出して欲しい。
まだ若くて未熟な自分のパートナーになってくれたのは、誰だろう?
雨の日も風の日も家族のために頑張ってくれるのは、誰だろう?
世界中に沢山ある会社の中で、自分の会社を選んでくれたのは誰だろう?
妻や従業員に対して感謝の心が生まれれば、人間はさらに成長する。
傲慢という病を吹き飛ばすワクチン。それは「感謝」だ。
沢山の異性が存在する中で自分を選んでくれた。
数多ある会社の中で自分の会社を選んでくれた。
いつ死んでもおかしくないのに今日という日を与えられた。
それを忘れなければ「傲慢」の病に蝕まれることはない。
インフルエンザに感染しても現状にもどるが「傲慢」に感染すれば、すべてを失ってしまう。
僕らはすべてを失ってやり直すほど人生は長くない。
だから、成功する人は必ず謙虚であるといわれている。
積善の家に余慶あり。
成功する人は最大の病とは何かを知っているのだ。