戦争 震災…俺の人生 87歳女性ラッパーCD化

太平洋戦争や東日本大震災など数々の苦難を乗り越え、仙台市太白区長町の災害公営住宅に暮らす藤沢匠子(たつこ)さん(87)が、自らの生きざまを歌った ラップ曲「俺の人生」が注目を集めている。ラップを口ずさむ動画が2月にインターネットで公開され、再生回数は既に9万回を超えた。好評を受け、11日に 藤沢さんの歌やインタビューを収めたCDが発売された。
藤沢さんがラップを歌うきっかけになったのは、現代アート作家門脇篤さん(47)=青葉区=との出会い。震災で自宅が全壊し、入居したあすと長町仮設住宅で門脇さんが支援活動をしていた縁だ。
今年1月、藤沢さんは自身が歩んだ人生を門脇さんに語り、「本にしたい」と打ち明けた。門脇さんは、被災地の子どもたちとラップを作る活動もしていることから、「短くて分かりやすいラップに」と提案。藤沢さんの自分史を下敷きに作詞作曲を手伝った。
「青春時代は戦争だった 月謝払って弾丸つくった」。出だしの歌詞の通り、宮城野区に生まれ育った藤沢さんの女学校生活は学徒動員に明け暮れ、17歳で終戦を迎えた。
1948年に結婚し2年後に長男が生まれて間もなく、広瀬川の氾濫で自宅を流失。その3年後、夫と死別した。板金業を興して共に頑張ってきた長男は十数年前に喉頭がんを患い、入院生活を送る。
マイナー調のメロディーに乗せて振り返る「俺の人生」は、「あれ考えればなんでもない どんなことだって乗り越えていける」という歌詞が4度も出てくる力強い作品だ。
門脇さんは「多くの困難を経験した藤沢さんの言葉は重く、人を勇気づける力を持っている」と語る。現在、門脇さんが歌う英語バージョンも制作している。
CDは自主制作で1500円。収益は東日本大震災と熊本地震の復興を支援する組織に寄付される。連絡先は門脇さんが理事を務める一般社団法人アート・インクルージョンのファクス022(797)3673。

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