戦災の苦難乗り越えた 宮城学院同窓会が記念誌

宮城学院同窓会(仙台市青葉区)は、第2次世界大戦中に学校生活を送った同窓生289人の声をまとめた「苦難の時を越えて 戦中・戦後の卒業生へのアンケート集」を発刊した。宮城学院の創立125周年に合わせた記念誌。編集メンバーは「震災と戦災の違いはあるが、大変な時代に学んだ生徒の声を多くの人に伝えたい」と話している。
 冊子はA4判173ページ。同窓会記念資料委の岩渕淑子代表(76)=仙台市若林区=ら4人が4年かけて編集した。東日本大震災の影響で作業が4カ月ほど遅れたが、9月に500部が完成した。
 アンケートは、戦時中から終戦直後にかけて学生生活を送った約1000人を対象に調査票を送り、自由記述で答えてもらう形を採用。84歳~77歳の289人が、当時の教育内容や戦災体験などについて答えた。
 教育内容では、「英語は女学校2年で廃止された」「賛美歌を禁じられた」など、戦中に敵性語とされた英語やキリスト教への「圧力」を指摘する声が目立った。
 1944年に横須賀(神奈川県)の海軍工場に生徒約200人が動員された経験を挙げ、「動員生活はつらかった」「いつも空腹で、風呂にあまり入れなかった」といった戦時下の様子をつづったOGもいた。
 同年の仙台空襲については、「学校ががれきの山になり、悲しかった」「市内で馬や人の死体を見た」「爆風で家が壊れた」と被害に関する証言が寄せられた。
 その一方で、学校の思い出では「友達に会うことが最高の楽しみだった」とする記述もあった。「戦後の救援物資でフワフワでいい匂いの毛布を贈られた」「外国人講師に紅茶とクッキーを振る舞われ夢心地だった」などと、厳しい時代にあっても少女らしさを伝えるエピソードもあった。
 後輩へのメッセージでは、平和への願いとともに「どんな状況の中でも必ず光を見つけてよい人生を送って」といったエールが並んだ。
 岩渕さんは「この世代は仲間の結束が固く、人生を強く生き抜いてきた。戦災と震災の違いはあるが、人との絆が支えだったことなど共通点もある。震災後の社会を築く若い人に役立ててもらえたら」と話す。
 冊子は1200円で販売し、収益は被災した生徒の奨学金に充てるという。連絡先は同窓会022(279)6675。

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