所得増税「5%10年」か「10%5年」

東日本大震災の復興財源を確保するための臨時増税を議論している政府税制調査会は14日、所得税について、定率5%の増税を10年間実施する案と10%を5年間実施する案を提示する方向で調整に入った。法人税の増税期間は3年間とする方針を固めた。所得税は次の世代に負担を先送りしない期間とし、法人税は産業の空洞化を防ぐため短期間にとどめる。
 政府税調は週内にも、複数の増税案をまとめる。国税は、(1)所得税と法人税(2)所得税と法人税にたばこ税など他の税目の組み合わせ(3)消費税-の3案を示す。増税規模は、12兆円程度を想定している。提示された案をたたき台に民主党税調で議論し、月内の政府・与党案の決定を目指す。
 所得税は、納税額を一定の割合で上乗せする定率増税を実施する。焦点となる増税率と期間は、「月当たりの負担増を1千円未満に抑える」(政府税調幹部)ことを前提として、5%を10年間と、10%を5年間の2案に絞った。
 負担増による消費の冷え込みなどを避けるため、期間をさらに延ばすことを求める声もあるが、税調内では「恒久増税に近くなり、臨時増税とはいえなくなる」(政府関係者)との否定的な意見が強い。
 一方、法人税については平成23年度の税制改正に盛り込まれたが、棚上げになっている実効税率5%の減税を実施した上で、減税額の範囲内で増税する。経団連も14日にまとめた提言で「法人税も一定の負担を分かち合う」と明記。5%減税の実質3年間見送りを容認する方針を示し、政府税調と足並みをそろえている。
 これに対し、経団連が選択肢に加えるよう求めた消費税は、短期間に多額の税収が見込めるものの、社会保障と税の一体改革の財源に温存する方向だ。

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