所得税は、所得が多くなると税率が高くなる
所得税の税率(分離課税を除く)は、所得が多くなるにつれて税率が高くなる「超過累進制度」が採用されています。実際の額面年収は、いくらの年収で税率が上がっていくのでしょうか。計算してみました。
所得税の税率は7区分。課税される所得金額によって5%~45%
所得税の税率は、5%から45%の7段階に区分されています。一般的には、所得税の速算表を使用します。その内容は画像のとおりです(平成27年分以降分)。
税率は7区分となっており、「課税される所得金額」によって適用される税率が変わります。「課税される所得金額」とは、いわゆる会社員の「年収」や「収入」とは違う金額を指します。
所得税率の計算で使う「課税される所得金額」はどうやって求める?
この課税所得金額の求め方ですが、まずサラリーマンの「年収」から給与所得控除(サラリーマンの必要経費)を引いた金額である「所得」を出します。
給与等の収入金額-給与所得控除額=給与所得
これが給与所得となります。そしてこの給与所得から、基礎控除や社会保険料控除を引いた金額が「課税される所得金額」となるのです。
▼平成29年分~令和元年分の給与所得控除額の金額給与所得控除額の金額とは画像の表から計算することができます(平成29年分~令和元年分)。
▼令和2年分以降の給与所得控除額の金額給与所得控除額の金額とは画像の表から計算することができます(令和2年分以降)。
令和2年分から給与所得控除額が変更となっておりますので注意してください。
▼令和2年分以降の基礎控除また、基礎控除も令和2年分から変更となっています。
▼「課税される所得金額」は確定申告書にも……なお、「課税される所得金額」は、確定申告をしているサラリーマンの場合は、図で示した確定申告書の欄に書く数字のことといえば、イメージしやすいのではないでしょうか。
((9)所得金額合計-(25)所得から差し引かれる金額合計(所得控除額合計))
=(26)課税される所得金額
所得税率5%から45%の「年収」の目安とはいくらになる?
以上の点をふまえて、それぞれの税率が適用される年収についてみてみましょう。前提条件として所得控除額は、社会保険料控除額(給与年収の15%・上限220万円)、基礎控除のみとします(令和2年度を想定/所得金額調整控除を除く)。
1. 税率5%(195万円以下)に該当する給与年収は、約4,420,000円未満
給与所得控除を引いた後の所得3,092,800円 - 663,000円(社会保険料) - 480,000円(基礎控除)
=1,949,800円≒195万円
2. 税率10%(195万円を超え330万円以下)に該当する給与年収は、約6,540,000円未満
給与所得控除を引いた後の所得4,788,800円-981,000円(社会保険料)-480,000円(基礎控除)
=3,327,800円≒330万円
3. 税率20%(330万円を超え695万円以下)に該当する給与年収は、約11,035,000円以下
給与所得控除を引いた後の所得9,085,000円-1,655,250円(社会保険料)-480,000円(基礎控除)
= 6,949,750円≒695万円
4. 税率23%(695万円を超え900万円以下)に該当する給与年収は、約13,447,000円以下
給与所得控除を引いた後の所得11,497,000円-2,017,050円(社会保険料)-480,000円(基礎控除)
=8,999,950円≒900万円
5. 税率33%(900万円を超え1,800万円以下)に該当する給与年収は、22,630,000円以下
給与所得控除を引いた後の所得20,680,000円-2,200,000円(社会保険料)-480,000円(基礎控除)
=18,000,000円=1,800万円
6. 税率40%(1,800万円を超え4,000万円以下)に該当する給与年収は、44,150,000円以下
給与所得控除を引いた後の所得42,200,000円-2,200,000円(社会保険料)-0円(基礎控除)
=40,000,000円=4,000万円
7. 税率45%(4,000万円超)に該当する給与年収は、44,150,000円超
となります。
なお、サラリーマンではなく、事業所得や不動産所得の所得金額は、
総収入金額-必要経費等=所得金額
のように計算して、税率を掛けます。
いかがでしたでしょうか。5%の人は、給与年収が442万円以下、10%の人は、給与年収が654万円以下、となりました。ここでは社会保険料控除と基礎控除のみを計算に入れましたが、他の所得控除がある場合には、より高い金額となるでしょう。
(文:坂口 猛(マネーガイド))