仙台市泉区根白石の私設野球場「向河原球場」で長年開かれてきた少年野球大会「梅津杯」が、11日開かれる第70回大会で終了する。球場所有者の農業梅津征雄さん(73)ら主催者が高齢になり決断した。手作りの球場完成から35年。泉区西部の野球少年たちの“ミニ甲子園”が幕を閉じる。
球場は野球好きの梅津さんが1980年、「子どもたちに伸び伸びとプレーさせ、地域の少年野球レベルを上げたい」と、自分の畑と林2ヘクタールを家族総出で整地し、球場2面を仕上げた。
完成当初は、わらを干す稲木にゴルフ練習用の網を張ってバックネット代わりにした。梅津さんは「整地で切り倒した木がウルシと気付かず、運搬中に顔がかぶれたのも良い思い出」と懐かしむ。
球場完成と同年に梅津杯もスタート。毎年春と秋に開催し、第1回は根白石、実沢、福岡、野村各地区の4チームが参加した。泉パークタウンなど周辺の開発が進んで参加者が増え、10チーム規模の大会に成長した。
最近は、地域の児童数減少に伴い根白石や住吉台の少年野球チームが不参加となるなど、曲がり角に差し掛かっていた。
球場は梅津さんが2、3週に1度、芝刈りをして維持してきた。手押し芝刈り機での作業は毎回3、4時間を要し、73歳の梅津さんには重労働という。妻の国子さん(70)も大会時に振る舞う豚汁やおにぎりの準備が大変になってきた。
最後の大会には8チームが参加する。第1回大会から実行委員長を務める農業沖正治さん(70)は「続けてほしいとの声もあったが潮時だ。楽しく閉幕したい」と話す。梅津さんは「ここから甲子園球児が大勢生まれた。地域の少年野球のレベル向上の目的は果たせたと思う」と語る。
11月15日には記念行事として、元巨人の定岡正二さん、駒田徳広さん、吉村禎章さんのプロ野球OB3人による少年野球教室を開く。球場は今後も、地元の中学野球チームなどが練習場として活用するという。