持続化給付金 相次ぐ摘発…返金申し出2万件超

持続化給付金は新型コロナ禍で打撃を受けた中小企業や個人事業主らを早期救済するため「性善説」に基づいた手続きの簡便化・短期化を重視した制度で不正受給が横行した。

制度を所管する中小企業庁によると、これまで約424万件で、計約5・5兆円が支給されたが、不正認定(5月26日時点)は個人と法人の1218件で、総額は約12億2600万円に上るという。

チェックの甘さを背景に、組織的に手数料や全額をだまし取るケースが目立つ。警視庁に詐欺容疑で逮捕された東京国税局職員ら7人も、申請の名義人となった若者らと無料通信アプリ「LINE(ライン)」でグループを組み、不正受給の方法を指南していた。

こうした中、全国の警察も摘発を強化。5月30日には、警視庁捜査2課が9億円超の持続化給付金を詐取したとみられる三重県の家族3人の逮捕に踏み切った。

ただ、指南役に加え、名義を貸した方なども罪に問われる恐れがある。今回、名義人となった当時17歳の高校生だった男(19)も詐欺容疑で書類送検された。相次ぐ摘発に、名義人が申告して捜査の端緒となるケースも増えている。

中小企業庁は不正申請者が自ら返金を申し出た場合は刑事告訴などは求めない姿勢で、これまで2万件超の返金申し出があり、1万5427件(約166億円)の返還を受け付けたという。(塔野岡剛)

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