お年寄りなどに対する被害がなくならない振り込め詐欺を減らそうと、神奈川県警川崎署の警察官が手口などを紹介する替え歌を作詞し、完成させた。タイトルは「振り込まないで」。JR川崎駅前で28日に行われた振り込め詐欺防止キャンペーンで披露され、今後は市内の商店街やデパートなどで流される予定だという。
「振り込まないで」の元になった曲は、昭和40年代後半にヒットした小林亜星さん作曲の「ふりむかないで」。振り込め詐欺の被害が多い50歳以上の人がすぐに覚えられるようにと、シャンプーのCMソングとして流行した同曲が選ばれた。同署の小平博副署長が作詞した。
「電話換えたよ 風邪をひいたよ またまたその手で だますのか しっかりしてね 鬼になって だまされないで 川崎の人」
歌詞には振り込め詐欺の犯人が語る手口や、だまされないための心構えを盛り込んだ。6番まであり、家族にこまめに連絡を取ることなど被害に遭わないための対策も紹介されている。
歌は歌手の宮下敏子さんが担当し、CD約50枚が今月上旬に完成した。同署はすでに市内の数カ所の商店街に配布。今後はデパートなどにも配り、館内で使用してもらえるように働きかけるという。
28日に行われたキャンペーンでは、宮下さんが1日署長を務めた。警察官の制服に身を包んだ宮下さんは、約100人の観衆の前で「振り込まないで」を熱唱した。宮下さんは「『鬼になって』など歌ったことがない歌詞が出てきて驚いたけど、歌ってみたらしっくりきて、回りからも『すごくいいね』といわれている」と笑顔で話した。
歌を聴いた家事手伝いの女性(49)は「昔テレビで聞いたメロディーで、とても懐かしく感じた。歌詞も良くできているので、この歌で振り込め詐欺の被害が減ってくれたらいいと思う」と話した。