捨てたもんじゃないけど…「世界の最良国」日本が大健闘

【風を読む】
 日本が「世界の最良国」番付で中国はおろか米国をも凌(しの)いで大健闘したと書けば、まさかと思われる方も少なくなかろう。
 でも、これは本当の話。近刊の米誌ニューズウィークの特集「世界の最良国」から紹介しよう。
 まず、総合番付を見ると、日本は100カ国中9位、米国は11位、ドイツ12位、韓国15位と続いて、中国は59位にすぎない。もっとも、日本より上はもっぱら欧州の小国が占めている。人口が多い国に絞れば、日本は1位に躍り出て、米国は2位、中国は10傑にも入らない。
 人口が多い国の「生活の質」番付では、ドイツ、米国、フランスが1~3位に付け、日本は4位、中国はここでも10傑入りしていない。「教育」番付でもフィンランドと韓国が1、2位に進出、米中が10傑落ちする中、日本は5番目に位置し、「医療」番付は日本が1位だ。
 問題は「経済活力」番付だ。日本はシンガポール、米国、韓国、英国(順に1~4位)、欧州の小国群にも後れを取り、中国を制して10位に滑り込み、人口の多い国に絞って初めて、1~2位の米英と4位の中国の間に割り込んでいる。
 とはいえ、番付全体を眺めれば、意外や意外の日本善戦である。景気の二番底におびえ、中国への第2の経済大国の座明け渡しも迫り、少子高齢化も進み、政治も混迷し、万事に衰えの目立つ日本には、元気の出るニュースかもしれない。
 だが、何だそうなんだ、と安心してはいけない。番付から読み取るべきは、日本もまだ、そう捨てたもんじゃないけど、社会全般から失われている活力は取り戻さなきゃね、といったメッセージだろう。
 ついでにいえば、特集は「年を取る最良の地」としても日本を挙げ、「日本のお年寄りは気前の良い年金、社会の尊敬、世界一の長寿を享受するのみならず、自らの祝日、敬老の日も持つ」としている。所在不明高齢者問題で敬老社会のイメージが傷つく直前のことであるが。(論説副委員長・西田令一)

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