「αism」。
普通のサツマイモと比べると、あまりに小さ過ぎて、売ることもできずに捨てられていたサツマイモ。
実は、これこそ世界が求めるサイズだったんです。
宮崎県の広大な地でサツマイモの生産を行う、くしまアオイファーム。
収穫された大量のサツマイモが積み重ねられているが、手にとってみると、手のひらサイズ。
この小さなサツマイモ、もともとは捨てられるはずのものだった。
くしまアオイファーム・池田誠代表取締役社長/CEO(最高経営責任者)
「小さいサツマイモは、農家さんが嫌がったんですよ、扱うのが。小さいし、手間がかかるし、安いし。だから、こういうのは捨ててた」
そんな小さなサツマイモが今では一転、世界中に輸出されている。
池田代表取締役社長/CEO
「わたしも一農家の時は(国内)市場に出荷してたんですが、(国内での)手取りは100円/kgぐらい。香港では1,400円/kgとか。14倍ぐらいで高い時は売れていて。それなら、これを集めて商売にしようと」
価値は一気に14倍に。
その訳は、日本と異なる食文化を持つ国や地域に目をつけたことだった。
その1つ、香港のスーパーマーケット。
日本のサツマイモを試食する人たちが。
香港のバイヤー
「香港の方は、小さいサツマイモの方が好き。その原因は、家庭で調理しやすい。家庭では、ゆでたり炊飯器で炊いたりするのが一般的」
実は、香港では炊飯器でサツマイモを蒸して、おやつとして食べる食文化があり、その時好まれるのが、炊飯器に入れられて食べ切りやすい小さいサツマイモ。
また、住宅が狭くキッチンスペースが限られているという事情も関係し、場所を取らず、すぐに使い切れる小さいサツマイモが好まれているという。
こうした食文化の違いをうまく利用し、販路を拡大した小さいサツマイモ。
2018年は、サツマイモの輸出量のシェア国内トップクラスに。
香港、台湾、シンガポールなどアジアを中心に、イギリス、ドイツなどヨーロッパにも出荷先を広げている。
さらに、自分の畑では、苗を植える間隔を狭くすることにより、小さいサツマイモを多く栽培することにも成功した。
日本とは違う、海外でのニーズに着目。
この発想が、廃棄される小さいサツマイモに価値を生み出し、さらには、小さいサツマイモの食品ロスを救うこととなった。