掛け声禁止、マスク着用…手探りの第7波対策 東北の夏祭り3年ぶり通常開催

新型コロナウイルス禍で中止や大幅縮小を余儀なくされてきた東北の夏祭りが、3年ぶりに通常に近い規模で開かれる。ただ、待ち望んだ夏の風物詩の復活が近づくにつれ、感染の「第7波」が急拡大。山形花笠まつりや秋田竿燈まつりでは、祭りにつきものの掛け声を禁止にするなど主催者側は感染対策に細心の注意を払う。

3年ぶりの秋田竿燈まつりに向けて練習に励む上米町一丁目竿燈会のメンバー=7月25日夜、秋田市

 3年ぶりに公道でパレードする山形花笠まつり(5~7日)は参加団体を県内に限定し、「ヤッショーマカショ」の掛け声は禁止する。感染拡大で参加を辞退する団体が出ており、主催団体は先月下旬、踊り手らに自主的な検査などを求める追加対策を発表。担当者は「開催日が迫り、対策を義務化するのは難しい」と苦渋の表情を浮かべる。

 秋田竿燈まつり(3~6日)も「ドッコイショー、ドッコイショー」の掛け声を禁止し、有料観覧席数を2割削減する。

 独自対策を講じる町内竿燈会もある。秋田市の上米町(うわこめまち)一丁目竿燈会は、県外在住の会員には抗原検査を実施。練習前後と休憩時には、竿燈などの道具を念入りに消毒する。貴志冬樹(としき)代表は「神頼みにも近いがやり過ぎるくらいがいい」と話す。

 3年ぶりに通常規模で開かれる仙台七夕まつり(6~8日)の協賛会は歩きながらの飲食自粛などを強く呼びかける。

 福島わらじまつり(5~7日)は市民が踊りながら練り歩く「わらじおどり」の時間を短縮。実行委の森藤洋紀広報座長は「多くの人に参加してほしいが、多くなり過ぎればつらい。PRしたいが、しきれない」ともどかしげに話す。

 青森ねぶた祭(2~7日)は、大型ねぶた同士の距離を保つため、1カ所から1台ずつ出陣する「吹き流し方式」を22年ぶりに採用。「ラッセラー」の掛け声は禁止しないが、ハネト(踊り手)にはマスク着用を求める。

 盛岡さんさ踊り(1~4日)は、ワクチンの3回接種またはPCR検査などでの陰性確認が参加条件。市中心部のパレードは半分ほどの規模に縮小し、事前の練習会や、観覧客が踊りに加わる「輪踊り」は中止にした。

 盛岡市の畑山紀枝観光課長は「さらに対策できることはないか確認している。3年ぶりの祭りを待っている人は多い。伝統継承のため、今年こそ開催しなければならない」と語る。

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