携帯やPCからネオジム磁石回収 産総研が開発

経済産業省所管の独立行政法人産業技術総合研究所が、レアアース(希土類)のネオジムなどを含む強力な「ネオジム磁石」を不用になった携帯電話やパソコンから回収する技術を開発したことが23日、分かった。回収が軌道に乗れば、“自国資源”としての再利用に道筋をつけることになる。
 携帯電話の振動装置やエアコンのコンプレッサー、パソコンのハードディスク駆動装置(HDD)、ハイブリッド車のモーターなど、最近のハイテク製品はネオジム磁石を使用。ネオジム磁石に含まれるネオジムやジスプロシウムというレアアースは、いずれも中国から輸入されている。
 昨年発生した沖縄・尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件を機に中国からのレアアース輸入が一時滞った経緯があり、日本の産業界にとって製品からの回収技術の確立は緊急課題。しかし、磁石は強力で粉砕しても金属に付着し、取り出すことが困難なため回収実績はほとんどないという。
 産総研では、ネオジム磁石を磁性を帯びない特殊鋼で打ち抜き、摂氏300度程度で加熱後、特殊な粉砕法を施すと95%以上の高品位の磁石合金を回収できることを突き止めた。この技術をもとに磁石合金の回収装置を兵庫県の粉砕機メーカーとともに開発、5月の展示会に出展する計画だ。
 一方、日立製作所もパソコンのHDDなどに振動を加えて分解、取り出したネオジム磁石に電流をかける方法で磁力をなくし、回収する技術を開発。経産省はこうした動きをふまえ、レアアース回収の仕組み作りを急ぐ。
 政府はレアアース回収に平成22年度補正予算で1千億円を計上しており、経産省は「レアアースが使われた製品を1カ所に集める方法を探るとともに、レアアースが有効に回収できるよう技術開発や設備投資を推進したい」(非鉄金属課)と話している。

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