携帯ゲーム効果で人気集める 店頭購入でカード獲得

 「漬物の月間売り上げが倍増した」「ケーキの生産が追いつかなかった」―。携帯電話の位置情報ゲーム「コロニーな生活☆PLUS」(通称・コロプラ)と提携する東北の名産品店が最近、急速にゲーム愛好者たちの人気を集め、売り上げを伸ばしている。
 秘密は店での買い物額に応じ、店頭で受け取ることができるカード「コロカ」。1000円、2000円、5000円の3種類があり、記載の番号を入力すると、ゲーム上で使うアイテムが獲得できる。愛好者のアイテム収集意欲を刺激し、現実の商品購買につなげる仕組みだ。
 老舗漬物店「三奥屋」(本社・山形県高畠町)の米沢支店は、1月からカード配布を開始。気前よく「1万円分買います」などというゲーム愛好者の客が相次ぎ、最高で3万円分を購入した客もいた。
 開店待ちの客が増えたほか、客層も若返った。月間売り上げはNHK大河ドラマ「天地人」効果があった昨年1月の2倍になった。
 佐藤芳彰営業部長は「天地人の放映終了後は客が減ると不安に思い、『コロカ』を始めた。よく分からずに始めたが、これほど効果が出るとは」と驚きを隠さない。
 実際の移動距離に応じて、ゲーム上で使える仮想通貨も手に入るため、交通アクセスの悪さも店側の不利にはならない。
 本州最北の提携店、秋田県大潟村の手作りケーキ店「野の花シフォン」は秋田市中心部からでも40キロ超あるが、関東、さらには広島県、香川県などから遠来者が相次いでいる。配布を始めた昨年11月には100人の客が来た日もあり、寝る間もない忙しさ。その後もゲーム愛好者だけで月間40万円弱は売り上げる。
 成川憲子代表は感謝するばかり。「黙っていてもわざわざ来てくださる。知人らの分も代表してまとめ買いに来た、と大荷物を苦にせず帰る人もいる」と言う。
 運営会社コロプラ(東京都)によると、提携する東北5県の8店では3月、約3000人がカードを受けた。
 同社は3月、旅行会社と共同で岩手県内バスツアーを2度行った。提携する岩手県岩泉町の食品加工「早野商店」にはツアー客計50人が訪れ、食用ホオズキのソースの瓶詰がよく売れた。
 早野崇取締役は「閑散期で、例年は売り上げゼロに近いところを助けられた」と喜んでいる。
[コロニーな生活☆PLUS]
 「コロニー」と呼ばれる仮想の街をつくる携帯ゲーム。全国の利用者は約100万人とされる。衛星利用測位システム(GPS)を活用し、ゲーム参加者が実際に移動した距離はゲーム上のお金に換算。移動距離が長くなるほど、金額が増し、自分のコロニーを豊かにできる仕組みだ。名産品店との提携は昨年6月に始まり、全国55店が「コロカ」を配布。東北では、ほかにも宮城県松島町のかまぼこ店や郡山市の酒造会社などが提携している。

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