携帯各社、ガラケー値下げは“苦肉の策” 格安スマホに危機感「流出無視できない」

携帯大手が相次いで「ガラケー」と呼ばれる従来型携帯電話利用者向けに新料金プランなどの施策を打ち出している。19日にNTTドコモとKDDIがこれまでより1000円安い通話定額プランを発表したのに続いて、20日にはソフトバンクも両社と同額の通話定額プランを発表した。新プラン導入の背景には、格安スマホへの流出がガラケー利用者を中心に相次いでいることがある。スマホ利用者が伸び悩む中、大手は料金値下げによるガラケー利用者の囲い込みという苦肉の策に出た。

ドコモ、KDDIの新プランは、高速通信回線「LTE」に対応したガラケーが対象で、ドコモはデータ通信料なども合わせると1800円から、KDDIは1500円から利用できる。料金に端末価格は含まれないが、端末と通信料の合計で月額3000円程度の格安スマホを意識しているのは明らかだ。

ガラケー利用者はドコモ、KDDIとも契約者数全体の約4割。ドコモの吉沢和弘社長は「それほどはない」と否定したが、値下げによる業績への影響も無視できない。それでも両社が値下げに踏み切ったのは、ソフトバンクの格安スマホブランドのワイモバイルや楽天などの格安スマホへの流出に危機感を持ったためだ。MM総研の横田英明研究部長は「ドコモは、ドコモ回線を使った格安スマホへの流出を同じドコモ回線ということで目をつぶってきたが、流出が無視できない規模になってきたようだ」と指摘する。

総務省は格安スマホ事業者が回線を大手から借りるための接続料の値下げ促進に向けた議論を進めている。携帯大手はこうした動きも配慮しながら、顧客確保策を打ち出していく。

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