携帯大手、メタバースに注力…アイドルと交流・プロの投球体験

携帯電話大手が、インターネット上の3次元の仮想空間「メタバース」の活用を急いでいる。有名歌手との交流や名所巡りなど独自の演出で利用者の取り込みに余念がない。

 NTTドコモは28日、メタバースなどデジタルの最先端サービスを手がける「NTTコノキュー」を10月1日から本格始動すると発表した。手始めに、今年3月末にスタートしたメタバース「XRワールド」の運営主体として、サービスの拡充に取り組む。

 10月5日から仮想空間にアイドルグループAKB48の劇場をつくる。メンバー5人と仮想アイドル1人の計6人の歌やダンスの映像を配信するほか、仮想空間の分身アバター同士で一緒に過ごす限定イベントなども用意する。

 コノキューの丸山誠治社長は28日の記者会見で、「メタバースで自己表現や体験の可能性を広げ、生活を豊かにしたい」と、新たな価値の提供に意気込んだ。

 もっとも、メタバースでの競争はすでに始まっている。KDDIは2020年5月から実在する都市をモデルに仮想空間をつくる。東京・渋谷のスクランブル交差点を再現した空間には昨秋のハロウィーンイベントに世界から延べ55万人が集まった。今年2月には、大阪の複数の繁華街が集まった再現空間も始めた。

 ソフトバンクは5月からグループのプロ野球球団の本拠地ドームをメタバース内に再現し、試合中の投手の球速や軌道を解析したデータを基にした投球を打席で体感できる体験や、通常は訪問できない選手のロッカールームの見学を可能にした。

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