【AFP=時事】携帯電話に残った皮膚片や皮脂、手あかなどからその持ち主のライフスタイルについて多くのことが分かり、将来的には犯罪捜査で指紋代わりに利用できるかもしれない──このような研究結果が14日、発表された。
実験に協力した39人のスマートフォンと右手のさまざまな箇所からサンプルを採取し分析したところ、スマートフォンにさまざまな化学的な情報が残されていることが明らかになったという。
米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された研究論文によると、分析の結果、抗炎症性や抗真菌性のスキンクリーム、脱毛治療薬、抗うつ薬、カフェインやハーブの分子などが検出された。日焼け止めクリームや虫よけ剤などに至っては、使用から数か月経っていても確認できたという。
■アウトドア派かどうかも分かる?
論文の共著者で米カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)のアミナ・ボウスリマニ(Amina Bouslimani)氏は、携帯電話に残された分子を分析すれば、持ち主が女性である可能性が高いか、高級化粧品を使用しているか、髪を染めているか、コーヒーを飲んでいるか、ワインよりビールが好きか、スパイシーな食べ物が好きか、うつ病の治療を受けているか、日焼け止めや虫よけ剤を使っているか、つまりアウトドアで過ごすことが多いかもしれないなど、あらゆることが分かると説明。
「こうした情報は、ある物の持ち主の捜索で、対象を絞り込む際の助けになるかもしれない」と述べた。
また、犯罪捜査のプロファイリングや空港の保安検査、患者が処方薬をきちんと服用しているかどうかを調べる医療検査、環境暴露研究などにも応用できる可能性があるという。
ただ、現段階で特定できるのは個人ではなく、人物のライフスタイルに関する一般的な情報で、普及させるには研究をさらに進めて技術の精度を高める必要がある。【翻訳編集】 AFPBB News