マイナンバーカードの活用拡大に向けた改正マイナンバー法などの関連法は2日の参院本会議で、賛成多数で可決、成立した。2024年秋に現行の健康保険証を廃止して「マイナ保険証」に一本化するほか、マイナンバーの年金受給口座とのひもづけを進める。
マイナカードを巡っては他人情報の登録など不祥事が相次いで発覚している。政府は丁寧な説明、対応が求められる。関連法には自民、公明両党と日本維新の会、国民民主党が賛成した。
関連法では、マイナ保険証への移行に伴い、マイナカードを取得しない人でも保険診療をうけられるよう、本人からの申請に基づき保険者が「資格確認書」を発行する制度を盛り込んだ。施行後も最長1年間は現行の健康保険証を使える特例措置も設けた。マイナ保険証は、患者が同意すれば、医師や薬剤師が過去の診療情報をみられるようになる。
マイナンバーの利用範囲も拡大する。これまでの社会保障や税、災害対策の3分野に、国家資格の取得・更新や自動車登録の手続きなどを加える。これらに「準ずる事務」も対象とする。また、マイナカードを申請しやすくするため、在外公館での交付・更新や、市町村が指定した郵便局での交付手続きも可能にする。
年金受給者を対象に、本人が不同意と回答しない限り、年金口座をマイナンバーとひもづけ「公金受取口座」に登録する仕組みも導入する。自治体からの給付金などの迅速な支給につなげる。公金受取口座を登録済みの年金受給者は対象外となる見通し。
年金受給者には法律の施行後、日本年金機構から口座ひもづけに同意するかどうかを尋ねる書留郵便が届く。回答しなければ同意したとみなされる。変更や取り消しはいつでも可能だ。
マイナカードを巡っては、マイナ保険証に別人の情報をひもづけるミスや、公金受取口座の誤登録、カードの取得者が受け取る「マイナポイント」の別人への付与など問題が相次いで判明している。関連法に反対した立憲民主党と共産党は、問題の実態解明と再発防止のほか、健康保険証の廃止が「国民皆保険の崩壊につながりかねない」と主張していた。