東北大生活環境早期復旧技術研究センターは、魚や野菜などの放射性物質を丸ごとの状態で測定できる装置を開発し、17日に宮城県石巻市の石巻魚市場に設置した。放射性物質測定装置として国の認証を得るための検査を兼ね、水揚げされた魚の放射性物質を調べる。
装置は検出機器を内蔵した50センチ四方の箱に魚や野菜などをそのまま入れ、放射性セシウムを測定する。大学で不用になった陽電子放射断層撮影装置(PET)を用いた。従来は食品をミンチ状にする必要があった。
新しい装置は1分間で1キログラム当たり5ベクレルを下限値に測定できる。デモンストレーションで約3キロのマダラを調べたところ、国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を大幅に下回る放射性セシウム14ベクレルが検出された。
石巻魚市場が使用していた簡易測定器は、1検体の結果が出るまで15分程度を要した。当面は2種類の装置を併用する。センターは測定データの提供を受け、魚に含まれる放射性物質が減っていく過程を調査する。
センターは年度内を目標に、より多くの食品を円滑に測定できるように装置の改良を進める。石井慶造センター長は「原形のまま検査できればミンチ状にする手間が省け、高価な魚を無駄にしなくても済む。石巻の復興に役立ててほしい」と述べた。
石巻魚市場は「より早く正確に、多くの魚の安全性を確かめられるのでありがたい」と話した。