建物や庭の土から出る放射線を感知し、風景に重ねて線量ごとに色分けして示す「ガンマカメラ」を東芝が開発し、線量が比較的高い福島市大波地区の寺で11日、実証実験が行われた。
一般的な放射線測定装置は軒下や地表の狭い範囲を「点」として調べる。ガンマカメラはある程度の「面」の中で線量の高い部分を調べられるのが特徴。放射性セシウムから出るガンマ線を検出する128個のセンサーと、ビデオカメラで構成する。
センサーの検出限界値は毎時0.1マイクロシーベルトで、ある程度の時間、継続して測定したい場所に向けてガンマカメラを固定し、積算の線量を測る。カメラに接続したパソコンの画面上で、その場の風景と線量の高低を色分けして映像化する。線量が高い順に赤、黄、緑、青で示される。
実際の空間は奥行きがあるため、センサーで厳密に線量を測定するのは難しい面もあるが、雨水などが流れて線量が高くなる「ホットスポット」を発見するのに向いているという。
11日の実証実験は東芝と福島市が共同で実施。寺の屋根から雨水が落ちる地面などで実際に線量が高い部分を見つけることができた。
視察した瀬戸孝則福島市長は「見えない放射線を可視化する技術は優れているが、価格が高いので、多くの地域で活用するには国や東京電力の支援が必要になる」と話した。
東芝はガンマカメラの価格を明らかにしていない。高額なため基本的に個人利用は想定せず、自治体などでのリース利用を目指すという。