政府は30日、東京電力福島第1原発にたまる処理水の海洋放出に向けた関係閣僚会議を開き、風評対策の行動計画を改定した。「将来にわたって漁業を継続できるよう、基金により持続的な対策を講じる」と明記した。西村康稔経済産業相は閣議後記者会見で、既設の基金300億円とは別枠で新たな基金の創設に着手する考えを示した。
西村氏は「事業者が安心して漁業を続けられると確信を深められるような支援や、地元産品の取引が継続される体制を構築する。経産省として、新たな基金を創設すべく取り組んでいきたい」と述べた。
政府は風評被害で水産物の需要が落ち込んだ場合に漁業者から一時的に買い取ったり、新たな販路を開拓したりするための緊急対策費として、2021年度補正予算で300億円の基金を創設した。
一方、海洋放出に反対する全国漁業協同組合連合会(全漁連)は、漁業者の後継者育成などのための基金を別枠で設けるよう求めていた。
行動計画には、風評被害が生じた場合に賠償金が滞りなく支払われるよう、地域や業種に応じた賠償基準を年内に取りまとめて公表するよう東電に指導する方針も盛り込んだ。
東電の小早川智明社長は会議後「風評被害が起きた時にどう対応するか、予見性を持つことが大切。関係者の意見を踏まえて検討していく」と話した。