政府は6日、韓国が自国内の大手造船企業に過剰な公的資金を投入しているのが国際的な貿易ルールに違反しているとして、世界貿易機関(WTO)提訴の前提となる2国間協議を要請する方針を固めた。経営が悪化した「大宇造船海洋」に対する韓国政府の支援が市場価格をゆがめているとし、日本側が見直しを求めていた。
石井啓一国土交通相は6日の閣議後の記者会見で「WTO協定に基づく紛争解決手続きを含め、関係省庁と最終的な調整を進めている」と話した。
この問題で日韓両国は10月下旬に政府間協議を開いたが、韓国側は見直しを拒否。日本側はWTOの補助金のルールに違反すると判断した。2国間協議が決裂すれば紛争処理小委員会の設置をWTOに要請する。提訴すればWTOで日韓両国が係争中の事案は4件目となる。
両国をめぐっては10月下旬にも韓国の大法院(最高裁)が新日鉄住金に賠償を命じる判決を出し、日本政府が強く反発。日韓関係の悪化が懸念されている。造船業界は2008年のリーマン・ショック前の好況時に相次いで生産能力を増強し、世界的に供給過剰になっている。