菅義偉官房長官は10日の参院内閣委員会で、政府の新型コロナウイルス感染症対策の一環として関係省庁で作る「マスクチーム」を創設したことを明らかにした。厚生労働、経済産業、総務各省から計約40人を集め、国や自治体が購入・保有するマスクを高齢者施設や医療機関などに優先的に配布する調整を担う。
菅氏は10日の記者会見で「医療機関や介護施設などに対するマスク供給を自治体や関係企業と連携して円滑に行うためのチームだ」と説明。国が医療機関向けに医療用マスク1500万枚、介護施設など向けに再利用可能な布製マスクを2000万枚を確保し、自治体と調整して配布する方針も明らかにした。
また政府が保有する約743万枚のマスクについても「当面必要な最小限以外は民間に提供する方向で検討している」と述べた。
厚労省は2月21日、都道府県の衛生関連部局に、高齢者施設などでのマスクや消毒用アルコールの不足状況を調査するよう要請し、自治体が備蓄するマスクなどの放出も求めた。ただ、政府は災害用など他部局が備蓄するマスクの放出が停滞していると判断し、9日に「マスクチーム」を創設し、実態把握や備蓄放出の働きかけを強化している。
政府は1月28日にメーカーにマスクの増産を要請し、設備投資への支援策も策定。3月は「月産6億枚程度」(菅氏)の供給を確保できる見通しだ。さらに国民生活安定緊急措置法の政令によって、今月15日からマスクの転売も禁止される。ただ、店頭での品薄は続いており、政府は買い占めの抑制などを国民に呼びかけている。【秋山信一】